[書評] マーケティングをわかりやすくシンプルに学べる本『100円のコーラを1000円で売る方法』

2014年7月9日
2017年5月16日
gappacker
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100円のコーラを1000円で売る方法

ストーリーで学ぶマーケティング本

会計ソフト会社に努める勝ち気な性格の主人公の宮前久美が、セールス部門からマーケティング部門に異動し、ライバル社との競争や、マーケティングに強い上司である与田に反発しながらも、様々なマーケティング理論を取り入れながら成長していくというストーリーです。

10章の連続した話のなかで、各章毎にマーケティングの考え方が出てきます。

本書で登場する理論

詳しい内容は本書に任せるが各章で取り上げられているものを抜粋しておきます。

1.市場志向と製品志向

製品開発において製品志向の考え方と、顧客中心に考える市場志向の違いについて

2.顧客絶対主義の落とし穴

お客さんのことを何も考えずに企画した商品は売れない。

3.顧客満足について

顧客満足とは”顧客が感じた価値”から”事前期待値”を引いたものである。
期待通りでは意味がない。

4.値引きについて

値引きができるのはコストリーダーシップを持っている場合のみ。

市場における4つの戦略ポジション
マーケットリーダー
マーケットチャレンジャー
マーケットニッチャー
マーケットフォロワー

5.バリュープロポジションとブルーオーシャン

顧客は”価格”と”品揃え”だけを重視する訳ではない。
バリュープロポジションとは
“顧客が望んでいて”
“競合他社が提供できない”
“自社が提供できる”
こと。

新しい要素を付加することで、新市場を切り開く。
ほとんどの企業は、時間とコストをかけて、他社と同じことを一生懸命自社でもやろうとしている。

6.競争優位のためのポジショニング

自社が勝負して勝てるポジションを探す。

7.販売チャネルについて

商品やサービスを必ずしも自社で売る必要は無いという話。

8.プロダクトセリングとバリューセリング

世の中のほとんどの企業は価格競争してはいけない。

9.戦略の一貫性について

ターゲットを明確にして、目的を決定。目的実現のためのコミュニケーション方法を設計しチャネルを選択。予算を配分する。

10.キャズム理論

お客がイノベーターかアーリーマジョリティかで売り方が変わる。

読んでみて

もしドラのヒット以降、この手のビジネス理論を優しい小説仕立てにして読みやすくした本は沢山でている。
この手の本はもれなくタイトルの付け方が巧く、内容が気になってしまう本が多いのだが、この本の存在も前から気になっていた。
内容としてはドラッカー、コトラー、ポーターなど定番の理論を、ストーリーに組み込んでうまく展開していく感じであり、さらに、キャズムなど比較的新しい考え方にも触れられていて、一貫したストーリーの中で広く浅く紹介している感じ。恐らくすでにマーケティングの知識がある人にとっては、巧くストーリーに盛り込んだなぁと関心こそすれ、感動はないだろうと思う。むしろ、畑違いの人にマーケティングって深いなぁ、コトラーっていう人の本を読んでみるか、という感じで新しい世界へいざなう本だと言えそうです。
音楽で例えるならば、オムニバスCDを買った後、気に入ったアーティストのソロアルバムを聞いてみたくなる感じに近いのかもしれない。
そんなわけで、マーケティングってどんなもの?みたいな人が小説を読む感覚で読むには良い本だと思いました。

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