[書評] 究極のセルアウト本。100万部インディーズ作家の『電子書籍を無名でも100万部売る方法』

2014年7月13日
2016年1月16日
gappacker
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電子書籍を無名でも100万部売る方法

正しい手順で行えば再現性は高い?

キンドルのミリオンセラー作家によるマーケティング本。

正しい手順で行えば再現性の高い実践的な内容と言えそうである。
その根拠となるのが以下の3点。

・著者は出版社や編集者を介さず電子書籍を執筆、製作、販売するインディーズ作家として初めて100万部を売った作家である。
・著者はもともと起業家として16の成功した事業を運営している。
・著者が初めて小説を書いたのは、本書を執筆する2年前である。

つまり本に関しては素人だった著者が、ビジネスの視点を駆使することで、ミリオンセラー作家になったというわけだ。裏を返せば、自分の表現の手段として執筆活動を行っている人にとっては、そのマーケティング市場主義的な売り方に受け入れがたい面もあるかもしれない。

目次をなぞりながら、本書の内容を簡単に説明していこう。
PART1は導入部であり、自己紹介と従来の出版マーケティングのウソを唱えている。
PART2では4つの成功の鍵について説明。
PART3ではより実践的な内容に触れている。

電子書籍で成功するための4つの鍵

PART1は割愛してPART2では「事前計画」、「ターゲット調査」、「アプローチ」、「ツールの活用」の4つを成功の鍵としている。

第一の鍵:計画を立てる

1. 書籍コンテンツ執筆計画
2. 書籍コンテンツマーケティング計画
読者は誰で、何に対して興味を持っている人達なのか?
事前に誰に向けて書くかを考え、計画を立てることの重要性を説いている。

第二の鍵:あなたの読者対象を知る

1. 読者対象に向けた執筆
2. 読者対象にブログを書く
3. 読者対象へメール
4. 読者と信頼関係を気付く

次に読者をプロファイリングし、関係を構築していくことの重要性について述べている。

第三の鍵:ビジネスアプローチ

1. 本の書き方、出版方法、価格設定
2. 本の登場人物をブランディングする
3. 書籍コンテンツを「従業員」と考える
4. 利益を最大化するための方法
ここでは価格設定やブランディングなどについてよりビジネス的な側面についての話。

第四の鍵:ツールを活用する

1. 電子書籍
2. ウェブサイト
3. Twitter
4. ブログ
最後にマーケティングにウェブを最大限活用することの重要性を説いている。

売れない理由

・執筆計画を立てていなかった
・マーケティング戦略がなかった
・誰が自分の読者対象なのか知らなかった
・誰が自分の読者対象なのか、調べる方法がわからなかった

プロジェクト目標を決める

・読者対象を決定する
・原稿を完成させる
・売れる書籍コンテンツを書き上げる
・電子書籍化する
・ウェブサイトをつくる
・ブログをつくる
・「ブログインタビュー」を行う
・5つ星評価のレビューを得る
・次回作も必ず購入する熱いファン(生涯読者)25名のメーリングリストをつくる
・能動的なツイッターフォロワー100名を得る

実践的な内容とエピソード

PART3ではこれまでの内容を、実際に行った事例やエピソードを交えながら解説している。
そこにはTwitterやブログの活用の仕方まで含んでいる。

読んでみて感じたこと

この本で行われている手法の中で、ユーザーの声を聞いて、気に入られるストーリーを増やしていったりする点についてはWebサービスやソフトウェアなどの開発で用いられているリーン開発的なものに近いのかも知れないと感じた。
誤解してはいけないのは、著者は一貫して売れるための手法を解説している点だ。それは良い作品を書きたいとか、自分の表現を通して名作を世に残したいという点とは似て非なるものである。
売れなくても良い作品は確実に存在するし、売れていても駄作は沢山あるのだ。

そしてこの本で紹介しているのは売るためにつくった本を売る手法である。

売れることが最優先事項である場合において、この本の通りにコトを進めていくのはいい事のように思える。しかし、そうでないのであれば、なんらかのストレスを感じるかもしれない。

僕はこの本の手法は再現性が高いかもしれないと思いつつ、この本のとおりにやれば、本当に本が売れると確信できているわけでもない。そして、誰もが再現できる手法だとも思っていない。
とはいえ、実積の申し分のない人の書いた本である。
電子書籍の出版を考えているのであれば、手に取ってみてはいかがだろうか。

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