[書評] デザインに活かせる?無意識の行為の中に存在するパターン集『考えなしの行動?』

2014年7月10日
2017年5月16日
gappacker
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考えなしの行動?

無意識の行為の中に存在するパターン集

人が考えることなく、無意識におこなっている行動がある。

平な面に、モノを置いてしまったり。
突起があれば、ものをかけてしまったり。
何かを避けるため、くぼみに入ったり。

そんな行動などである。

そのような瞬間を写真として切り取り、共通項で分類し構成されたのが本書である。

共通項とは下記の物である。
作用?
反応?
同化?
活用?
適合?
順応?
合図?

全ての項目に?がついているのは考えろということに他ならない。

そして、人が行っている無意識の行動の中にこそ、デザインのヒントが隠されているのではないかというのが本書の意図であり、そのアプローチの手法はより洗練されたものとなって、世界最高のデザインファームであるIDEOの人間中心デザインのプロセスにおいて標準的な実習方法になっている。

どれだけ彼らがこの手法を大事にしているかがわかる部分を、抜粋して紹介しよう。

ものを再確認し対応する、または、なにか欠けているものや不十分なデザインを修正するような解決策を編み出すときに、人々が発揮する想像力を私たちは随所に発見する。自分の希望を達成するがために人々が行う類のデザインに、デザインチームは常に発想を発掘し続けることができる。まったく単純に、この種の観察はデザインを発想する直接的なリソースになりえるのだ。

読んでみての感想

本を開いてみて最初に感じたのが、(えっ?写真集?)という感じだった。
それもそのはず、まとまった量の活字が登場するのは訳者の前書きを別とすると、後半の20ページほどしかない。(※ただし、その20ページは濃厚である。と付け加えておく。)

最初は、写真に少しの文章が入っているのを見て、わりと内容的に軽めな本なのかと思った。
有隣堂よりは某雑貨屋の本屋さんでバカ売れしたであろう自由人のあの人の作品を連想してしまったからだ。

軽い感じで眺めるように目を通すと4,5ページめくった時点で、この本は軽くないと気付く。
1ページ毎に味を確認するように考えなくては意味のない本なのだ。
写真に映し出された無意識の、思考を伴っていない行動が、読み手の洞察力を試し、思考を促して来るのだ。

最近いつ、物事をじっくりと観察しただろうか。
アクセス数などのデータを確認したり、Webサイトの構成を把握するために、ある程度の時間をかけることはある。
しかし、それは本書でいうところの観察ではなく、むしろ分析に近い。

僕はひょっとしたら大事なプロセスを欠いていたのかもしれない。
人の無意識を観察することは、意識的にしかできない。
僕はこの本で『観察の意識』を取り戻したのだ。

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