商品やサービスの価格をどうやって決めている?
自社の商品やサービスの価格を決める時に、仕入れや原材料、製造にかかるコストや人工計算を基に利益を乗せ、価格を設定するということは多いのではないだろうか?
この本は、ビジネスにとって重要であるにも関わらず、普段考えたり学んだりする機会の少ない価格設定の戦略について網羅されている本だ。
本書の内容と構成
本書は各章3つのパートにわけられている。まず、架空の企業「チョコレートティーポットカンパニー」が価格戦略を利用した商品の開発、業績の拡大、顧客の獲得、ライバルとの競争をしていく過程を読み物形式で展開。次に、ポイント毎にテーマについての解説と分析を行い、具体的な事例を紹介。そして「実践してみよう」のパートで自らのビジネスに応用するための解説をしている。
目次は下記のとおり。
もくじ
- 第1章 ポジショニングと価格設定
- 第2章 原価に基づく試算
- 第3章 顧客心理の読み方
- 第4章 マーケットのセグメンテーション
- 第5章 バイアスの戦いと公平さの追求
- 第6章 記憶と期待
- 第7章 アンカリング効果
- 第8章 マーケットでの競争戦略
- 第9章 おとり戦略
- 第10章 代金の後払い
- 第11章 ティーパーティー効果
- 第12章 バンドリングの技法
- 第13章 無料(フリー)の効用
- 第14章 アップセリング
- 第15章 提携販売とバリュープライシング
この手のストーリー仕立てでビジネスの考え方を学ぶ本といえば、日本ではお馴染みの『もしドラ』や『100円コーラ』などがあるだろう。
翻訳本ではダイアモンド社の『ザ・ゴール』シリーズを書いたエリヤフ・ゴールドラットくらいしか思い浮かばない。
単純に翻訳されていなかったり、知らないだけなのかもしれないが、それらの本が好きであれば、この本はそれらの本と比較しても内容が充実しているので、間違いなく満足できるのではないかと思う。
読んだ感想
日常生活において、僕たちは毎日モノの価格と向き合うことになる。
継続的に購入していた商品が、価格据え置きのまま内容量が減ったり(実質的な値上げ)、価格も内容量も変わって単純にこれまでの価格と比較し辛くなったりといった場面にでくわすことは少なくない。料金プランが3つ提示されていて、真ん中のものが魅力的に見えてしまったり、新製品より旧製品の方が値段が高く(または同じくらい)、新製品が割安に感じてしまったこともあるだろう。
そんな価格のトリックともいえる企業の価格戦略をあますことなく解説しているのが本書である。
新製品のリリースに携わっていたり、自ら製品やセービスを販売する立場にいる人であれば必読と言ってもいいし、消費者としてこのような価格戦略を知っておいて損はしないだろう。
実践的な内容であり、小難しい言葉などで中断されることもなく、楽しんで読めた。
これは変に小説に力が入り過ぎていたり、過度な演出などがないのも好感が持てる理由かもしれない。
最後に巻頭で掲載されていた価格設定の7原則というものを引用する。
ビジネス書でありながら、万人に薦めたいと思える本なので、ぜひ手に取ってもらいたい。
価格設定の7原則
- 価格は、企業側の費用ではなく、顧客にとっての価値を基準に設定する。
- 価格は、顧客が何に対してどれだけ支払うのか、はっきりわかるようにする。
- 価格は、企業が調整できる条件ごとに比較できるようにする。
- 価格を変更するときは、商品やサービスの再構築が必要である。
- 価格の差別化は、利益を大きく左右する。
- 価格から伝わるメッセージによって、顧客の価値認識は変化する。
- 利益を拡大するためには、売上の低下も覚悟しなければならない。
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