[書評] プロパガンダ教本

2013年5月11日
2016年7月6日
gappacker
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PR(パブリック・リレーションズ)の父と言われるエドワード・バーネイズによる著書。

現代社会においてプロパガンダというとどうしても旧共産圏や戦時中における国威抑揚のイメージが先行してしまうが、この本の中ではPRという意味合いでプロパガンダという言葉を用いている。
政治的に言及している部分に関しては第6章の「プロパガンダと政治家のリーダーシップ」のみであり、政治的な部分について期待して読むと肩すかしをくらうであろう。この本はPRの本という認識で読み進めるのが正いのだ。

この本が書かれたのは1928年なので、80年以上も前に書かれた本なのだが、そうとは思えないほど現代の社会と情報をとりまく関係性を現している。
情報による大衆を誘導する手法がそれほど進化していないと感じると同時に、発表当時はかなりの衝撃をもって受け入れられたのでは無いかと思う。

本書の中でバーネイズはあらゆる業種や業界、組織などにおいてプロパガンダ(PR)は必要不可欠であり、もっと活用するべきだと主張している。

「現代社会においては、大規模な事業を行う場合には大衆の同意が欠かせない。したがって、その事業がいかに健全なものであっても、その良いイメージを大衆の心に印象づけることができなければ失敗に終わる。」

ただし本書では手法を紹介するというよりは、PR活動によって影響がでたケースを紹介するような内容であり、教本というよりは歴史から学ぶケーススタディといった感じで、目から鱗といった内容とは言いがたく、引き込まれるというよりは惰性で読んだという印象が拭えない。

この本を正しく評価するとすれば、プロパガンダ本でもなく、PRに興味のある学生や一般企業のPR担当者が学ぶためのPR本ではなく、PR活動は必要不可欠だと主張し、PRという活動自体を周知することで、セルフブランディングの一貫としてバーネイズ自らを宣伝(PR)した本という見方がしっくりくる。

そのような理解の基で読むのであれば何かしら得るものはあるのかも知れない。

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