傲慢なタイトルだと思った。
同時に、死者の知名度に乗っかった便乗本か?と思いつつ、手に取った。
著者はコンピューターゲーム会社、ATARIの創業者ノーラン・ブッシュネル。
アタリという会社のゲームはやったことがないが、その会社の名前と存在は知っていた。
今もあるかもしれないが、98年とかそれくらいの僕がインターネットを初めて一年も経たない頃、MacやPCで、ファミコンやスーパーファミコンをプレイできるエミュレーターというアプリケーションがあり、そのソフトウェアが吸い出されたものがROMとしてインターネット上に落ちていた時代がある。
もちろん権利もクソもないのだけれど、昔自分が夢中になったファミコンなどのゲームが数M程度でダウンロードできることに驚いた。そしてそこにはNES(Nintendo Entertaiment System)やSNES(Super Nintendo Entertainment System)、SAGAのゲームなどと並んでATARIの名前があった。僕がアタリの名前を知ったのはその頃だったと思う。
その時、そのサイトを見ていたのはAppleのPowerBook1400csという今のMacBookAirを4つ重ねたくらいの厚みの”小型”ノートブックだったのだが、そのApple Computerを立ち上げた2人のスティーブ、スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックはこのアタリの出身者なのである。
この本は、彼らを知り、そして彼らに少なからず影響を与えたアタリの創業者の書いた本である。
本の内容と構成
本書は2部構成になっている。
第一部が『次なるスティーブ・ジョブズをみつけて雇う方法』、第二部が『次なるスティーブ・ジョブズを育てる方法』。
読みながらタイトルの『ぼくがジョブズに教えたこと』っていうのがちょっとズレてる気がしたので原題を確認したところ、原題は『Finding the Next Steve Jobs: How to Find, Keep, and Nurture Talent』。本の内容をふまえ、ニュアンス通りにタイトルつけるなら『次のジョブズを見つけろ。才能を発掘し、維持する方法』とかそんな感じで、クリエイティブな素晴らしい人材を集め、彼らが活躍できるための、企業文化や風土の作り方をテーマにした本である。
ジョブズのエピソードは所々で出てくるが、間違っても、俺がジョブズを育てたんだぜ、エッヘン。みたいな本ではない。
あくまでジョブズは『クリエイティブな人間』のアイコンとして扱われているだけである。
この本を読んでみて
先にも述べたようにビジネス的な理由だとは思うのだけど、吊りタイトルで売るようなセコいことをされると萎える。とはいえ出版社に対する印象が悪くなるだけで、本の内容自体はその後のアップルを産み出すうえで多いに影響を与えたであろう考え方などが随所に見られ、面白く読める。
クリエイティブなモノを生み出す組織はどうあるべきか。
参考にしてみてはいかがだろうか。
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