[書評] 日本を代表するロゴの成り立ちと歴史を知る『日本のロゴ』

2014年8月17日
2017年5月16日
gappacker
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日本のロゴ

出すと止まらないロゴデザインの見本帳

この本は日本の企業や美術館、博物館、老舗のロゴマークの由来や歴史、その変遷などを紹介している本である。数にして150以上は紹介されているだろうか。

ロゴマークにはいろんな意味合や歴史が詰まっている。

例えば、本田のマークの外の枠の形は三味線のタイコ(胴の部分)をモチーフにしていたり、花王の月の向きが以前は右向きだったが、下弦の月は輝きが欠けていく月であることから、繁栄を願い輝きが満ちていく逆向きの月になった話など、そこにはドラマがあり、興味は尽きない。

他にも、スポーツ用品を扱うMIZUNOのロゴマーク。
1906年当時の水野兄弟商会時の旗印のようなロゴマークから、1910年には美津濃商店に改名し漢字で”美津濃”という3文字になっていた時代の意外なロゴマークも掲載されている。

本書の構成

まずはグリコやカルピス、味の素などのプロダクトなどに描かれたロゴデザインの変遷の写真を紹介し、その後のページでは1ページか1/2ページを使って各ブランドのロゴデザインとコンセプトや歴史などを紹介している。
デザイナーインタビューとして佐藤可士和氏と、榮久庵憲司氏のデザインしたロゴをまとめて紹介し、ロゴデザインに関する短いインタビューも収録されていて、後半に博物館・美術館と、7つの老舗ブランドの商紋について紹介している。

目次の最終ページの端に、この本を出版している成美堂出版のロゴーマークについての解説が控えめに載せてあるのが憎らしい。

このについての感想

実はこの本は 7,8年前から僕の本棚にしっかりと居座り続けている本。
処分してしまう本も多い中、ずっと取ってあるのは資料的価値が高いのはもちろんのこと、手頃なサイズで気分転換に手に取って眺めるには丁度いい本なのである。この手の本は豪華なつくりの大型本で、値段も張ることがことが多く、寝転がったり、本棚の前で気軽に立ち読みにくいのだ。別に続きものであるわけでもないので、ただパラパラめくり、これまでじっくりと見たことはない見慣れた企業ロゴを少しだけ時間をかけて観察してみる。
そしてその解説を読んで、ロゴ裏に込められた意味や願いなどを知るのが、単純にとても楽しいのだ。息の長い企業であれば、時代を経て少しずつ変化していくロゴの変遷なども見られるのが面白い。デザイナーであればインスピレーションを得るためにいい本だと思うし、そうでなくても純粋に日本のいろんな企業のコーポレートアイデンティティの歴史を味わえるので楽しめるるだろう。
価格も手頃でコストパフォーマンスが高く、息の長い本である。

それにしてもタイガー魔法瓶のロゴ、よく見るとタイガーなのに可愛いなぁ。

ちなみにこの本は2冊目も出ている。

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