タイトルに引かれて手に取ってみました。
僕は今から10年近く前にタイ、カンボジア、ベトナム、ラオス、中国の5カ国を約3ヶ月間旅していたことがあるので、エリア的には多少の基礎知識というか、印象や距離感、風土みたいなものが行った事のない人に比べ、あるほうだと思います。で、お金を稼いだら転々と移住なんてことも憧れなくはない訳です。
まぁ、海外に行くと、ここは観光には良いけど住む場所じゃないなとか、少し不便だけど良いところだなとか、いろいろ考えながら旅してるわけで、そんな海外での生活に関する本とくれば読まない訳にはいかない。
著者の山崎初一氏は元々はSEをしていたそうで、日本でアパートを購入し、日本の不動産管理会社にアパートの管理を任せ、家賃収入で東南アジアを転々としながら生活しているそうです。やはりこの方も『金持ち父さん』を読んだことがきっかけになったようです。
確かにあの本のインパクトはスゴかった。
で、読み進めたものの、途中まではあまりピンと来ない。
1章〜3章まではワリと基本的な内容というか、著者がなぜ不動産投資をしてるのかと、そこに辿り着いた経緯などです。これができるかできないか、やるかやれないかは別とすれば、ごくありきたりな理由と経緯しか書かれていないように感じたため、この本、失敗だったかなとか思っていたら4章から少しづつ現地の話などが出て来て面白くなってきます。4章は金融リテラシー、5章は通貨の話なのですが、経済学的な話ではなくて、アジア圏で生活する上での金融の話なんですね。これは自分も体験したことなので理解できる部分も多いのですが、地方にいくと物価が高くなる話や、一部の地域で米ドルがそのまま流通している話、ラオス国内ではタイバーツが使える事があるがその逆はないという話など、国境をまたいで移動するような旅をしているバックパッカーにはおなじみの事例などを用いながら、地域経済や通貨、金融事情に関して考察を含めた論を展開しているのが、個人的に思い出す事も多くて面白く読めました。
話が少しそれますが、当時、僕はベトナムのハノイからラオスのビエンチャンを目指して移動するバスで入ったのですが、国境を越えたとき、入国スタンプ料として2ドルせびられ(渡す必要はないが慣行になっていた)、同じオンボロバスに乗っていた韓国人の女子グループが随分と長い時間抗議していました。でそれを待ってる間に、僕はドイツ人(トッティ似)とフランス人(ジダン似)達と、両替したとたんに厚みが1cm以上になり、二つ折り財布が折りたためないラオスキップの札束で大爆笑していたことを思い出しました。ベトナムドンのゼロの多さにもビックリしましたが、あれはそれ以上の衝撃でした。
話は本書に戻って6章では、海外投資という言葉に踊らされている人が多いのではないかと警笛をならすあたり、この著者はわりと冷静に世の中を見ている人なのだという印象を受けます。この手の本だと自分がどれだけすごいかとか、讃えるなら教えてあげようとか、マネしてもいいよ的なスタンスの本が多いので、そういう部分をスルーしながら読むことを覚悟して読み出したので、この辺は意外でもあり、好印象でした。
最後の7章でも、お金との距離感の話であり、煽ることもなく、大きく見せるでもなく、好感を持てる思ってた以上にまともな本でした。
2012年に帰国した際にはお金を稼ぐ事が目的ではない無料セミナーも行っていたようなので、ちょっと、どっかのタイミングで横浜に来て話してもらえないかとか考えてしまいました。個人的に話を聞いてみたい、というか話してみたいですね。
人が集まりそうなら交渉してみるか。
というわけで、海外移住とか興味ある人は読んでみてはいかがでしょうか。
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