新政府総理大臣による著書
坂口恭平の著書を読むのは2冊目になる。(昔、立ち読みした写真集を入れるなら3冊目。)
[書評] 踏み外しかねないが、大事なものに気付くかもしれない『TOKYO 0円ハウス 0円生活』
震災後、故郷である熊本に戻り、福島からの避難民を無償で受け入れるゼロセンターという施設を立ち上げ、そのまま独立国家を樹立した坂口総理。
『o円ハウス 0円生活』では手探りの中で控えめに、尊敬すべき都市型狩猟民族の方々の生活に迫っていたが、それから時間が経ち、彼を取り巻く環境は一変し、様々なフィールドへ活躍の場を拡げてきた。
彼が文字通り「路上」から学んだ知識や経験は、より一段と高いレベルの哲学に到達し、「断定」するまでに至っているその言葉達はとても力強い。
建築家でありながら、土地の所有という概念そのものや、貨幣経済に疑問を感じていた坂口が、震災後の政府の対応に不信感を持ち、疑問や置かれた状況に対し、行動で、そして態度で表現してきた歴史。
アーティストであり、アクティビストでもある彼の思想や哲学が詰まった一冊になっている。
震災後、安全を口にしながらも家族を海外に脱出させているような国会議員達。
坂口は、そんな責任者不在の原稿の匿名政府と同一平面上で戦っても死ぬと悟っている。
そして、逃げるべきだと知りながら言わない政府はもはや政府ではないと認定し、無政府状態ではまずいので政府を立ち上げたのだ。
彼の国家とは既存の政府に代わって国を統治しようとかそういう類いのものではない。むしろ既存の価値観や誤った認識に基づいた常識からの脱却と言う意味での独立であり、それを促すための独立国家であるように僕は思う。
未だに政府の言うことを根拠もなく信用していたり、放射線に対する不安を訴える人達に圧力をかけているような輩はきっと下品に笑うんだろう。
しかし、そんな彼を見て、僕は純粋に凄いと思う。カッコいいと思う。
おそらく少なくない数の人が、彼の思想や哲学に共感するだろう。しかし、一方で彼のように活動していくことは容易いことではない。彼は、みずからの人生をアートとして、真剣に、覚悟を持って表現している。それは一般の人にはとても難しいことだ。
しかし、彼は言う。自分で考えなくてはダメだ。そんな彼の言葉はピュアで力強く、きっと心を動かされることだろう。
時代が動いてるように見えたり、必死で旧来の構造に巻き戻そうとしているように見えたり、政治に幻滅を繰り返したりしながら生きていく中で、彼のように新たな方向性を勇気と行動を持って模索している人を、僕たちはキチンと認識しておく必要があると思う。
僕らが変わるためにも、僕らの回りが変わるためにも。
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