先日、ストレイト・アウタ・コンプトンを見た後に、そういえばこれまでヒップホップを描いた作品をいろいろ観たなあと思い、ヒップホップや黒人文化を描いた映画作品をまとめてみました。
未見のものが数本あったり、遠い昔に見て内容をほとんど覚えていないものもありますが、この際なのであわせて紹介しておきます。
DVD化されているものがほとんどですし、プライムビデオなんかで見られるものも多いので、改めて見直してみるのも面白いかもしれませんね。
どこまで紹介するかキリがなくなりそうなので、今回はアメリカのヒップホップのものだけにしています。
作品は公開された年順にまとめてます。
それではいってみましょう。
1. ワイルド・スタイル [Wild Style] (1982)
ヒップホップ黎明期のダンサー、グラフィティ、DJ、ラッパーを描いた言わずと知れたヒップホップクラッシックムービー。ヒップホップ史の授業で必ず出てくる最重要作品で、ヒップホップの4大要素を確立させたのはこのワイルド・スタイルなんじゃないでしょうか。
2. スタイル・ウォーズ [Style Wars] (1983)
ヒップホップ黎明期のグラフィティアーティストたちを追った貴重なドキュメンタリー映画。15,6歳のキッズ達が夜な夜な家を飛び出して地下鉄に落書きしに出かけていた様子や、それを問題視して報じているメディアなど、当時の様子がそのまま映像として残っているのは貴重。
3. クラッシュ・グルーブ [krush groove] (1985)
アメリカを代表するヒップホップレコード・レーベル、DefJamの誕生を描いた映画。映画自体の完成度はともかく、デフ・ジャム創設者のリック・ルービンやRun-DMC、Kurtis Blow、Sheila Eが本人役で出ていたり、LL Cool JやBeastie Boysなんかも出ていたりして歴史を感じる作品。
4. タファー・ザン・レザー [Tougher Than Leather] (1988)
ランDMC主演の映画で監督はデフ・ジャム創始者でプロデューサーのリック・ルービン。ビースティ・ボーイズのライブシーンなんかもあります。
5. カラーズ 天使の消えた街 [Colors] (1988)
ベテランと新米の警察官コンビを通して西海岸のBloodsとClipsという赤と青のチームカラーをまとったカラーギャング達の抗争の日常を描いた作品。新米刑事役をつとめたショーン・ペンが持ち込んだ企画をデニス・ホッパーが気に入って映画化した。カラーギャングを描いた数少ない作品。
6. ドゥ・ザ・ライト・シング [Do The Right Thing] (1989)
ニューヨークのブルックリンが舞台のスパイク・リー監督作品。人種差別と対立がテーマ。遠い昔に観たんだけど内容をほとんど覚えていないので見直そうかと思う。
7. ニュー・ジャック・シティ [New Jack City] (1991)
ウェズリー・スナイプス、アイスT主演のギャング映画。クラックで一大ドラッグ帝国“ニュー・ジャック・シティ”を築き上げた実在の麻薬王ニーノ・ブラウンを描いた作品。少なくともこの時代のゲットー育ちの黒人達にとってのサクセス・ストーリーいえば、ミュージシャンやスポーツ選手よりもギャングスターだっただろうなぁと。
8. ジュース [Juice] (1992)
4人の若者たちが銃を手にしたことで大きく変わってしまう。若き日の2Pacが主演している青春バイオレンスムービー。
9. ボーイズ’ン・ザ・フッド [Boyz N The Hood] (1992)
アイスキューブ主演LAのサウスセントラルを舞台にした映画。真面目に生きようとしても、周りの環境がそうさせてくれない。過酷な環境で生きる黒人の苦悩を描いた映画。
10.マルコムX [Malcom X] (1992)
ヒップホップや黒人文化を語る上で避けて通れないのが公民権運動。マーティン・ルーサー・キング牧師とセットで名前のあがることの多いマルコムXはネーション・オブ・イスラムというイスラム教から派生した新宗教を布教させた人物で、白人を悪魔と罵ったりと、わりと過激な思想だったことも知っておきたい。マルコムXをどのように評価するかでその人の思想が滲み出るようなデリケートな存在でもあるのだ。
11. ビート・オブ・ダンク [Above The Rim] (1994)
実はこの記事を書くまで存在を知らなかった作品。2pacが主演しているみたい。邦題がダサい。
12. フライデー [friday] (1995)
NWAを脱退し、ギャングスタから俳優へ転身したIce Cubeとクリス・タッカーが主演。サウス・セントラルの日常を描いた作品。面白かった印象はあるんだけど、あんまり内容を覚えてないので久しぶりに見直してみようと思う。
13. ザ・ショウ [The Show] (1995)
一線で活躍している豪華アーティスト陣へのインタビューや、ビギーやスヌープ・ドッグのライブシーンなどもあるヒップホップ・ドキュメンタリー。
14. slam (1998)
ラッパーで詩人のソウルウィリアムズ主演。
出口のない生活の中でもがきながらも、言葉を吐き出し生き抜いていく青年を描いた作品。
ヒップホップというよりは、言葉を使ったパフォーミングアートに近いけど、もしまだ見ていなかったら絶対に見て欲しい作品。
この映画がきっかけでニューヨークのアッパーイーストにあるニューヨリカン・ポエッツ・カフェというクラブにポエトリー・リーディング観に行ったのは良い思い出。
http://www.nuyorican.org/
15. ターン・イット・アップ[Turn It Up] (2000)
未見。ラッパーのPras、Ja Ruleが主演。
16. トレーニング・デイ [Training Day] (2001)
新人刑事のイーサン・ホークがベテラン刑事のデンゼルワシントンとコンビになるのだが、犯罪摘発のためには手段を問わない手法に疑問を感じはじめる。ヒップホップの映画というわけではないけれど、舞台がLAでドクター・ドレやスヌープドッグも登場する。
17. ビー・バッド・ボーイズ [How High] (2001)
メソッド・マンとレッドマン出演のコメディ作品。邦題が最高にダサい。クサばっかり吸ってばかりの2人がはちゃめちゃな学園ライフを過ごすって感じの作品らしい。実は見てないので別にオススメというわけではないけれどhow highのミュージックビデオはよく見た気がする。Da Rockwilderとかのこの2人のコンビはカッコいいと思う。
18. 8 Mile (2002)
エミネムも一躍スターダムに押し上げた作品。
彼以外にもフリースタイルのできる白人ラッパーはEyedeaやSlug、Grouchなど多数いたはずなんだけど、この作品によって『白人ラッパー=エミネム」というのを確立したように思う。白人ラッパーの存在と、MCバトルというものを世の中に広めた作品。Mobb DeepのShook Ones pt.IIに乗せたエミネムのフリースタイルラップは印象的でした。
19. ボム・ザ・システム [Bomb The System] (2002)
未見。グラフィティの映画らしい。気になるので観よう。
20. ブラウン・シュガー [Brown Suger] (2002)
ヒップホップでは珍しいラブストーリー。こちらも未見。評価が高いようなので観てみようと思う。
21. BEEF (2003)
ヒップホップでは揉め事のことをビーフと呼び、ラッパー同士のビーフを扱ったドキュメンタリー作品がこちらの作品。ただの口喧嘩で収まらず、酷い場合には武装して襲撃みたいになっちゃうのがアメリカのヒップホップ。
22. BEEF2 (2004)
揉め事特集ドキュメンタリー第2段。
23. BEEF3 (2005)
揉め事特集ドキュメンタリー第3段。
24. ハッスル&フロウ (2005)
ヒップホップの世界では、ストリートでイリーガルなことでメイクマネーして、ハスリングみたいなちょっと笑っちゃう世界観があるんだけど、そのなかでもドラッグかピンプ(ポン引き)って選択肢があって、映画に出てくるその多くがドラッグのディーラーなんだけど、この作品はめずらしくピンプが主役。
フッカー(売春婦)とピンプ(ポン引き)の微妙な距離感なんかも描かれていて、リリックではよく出てくるけど映像としてはあまりな目にすることがなかったという意味でなかなか興味深い作品。
25. ゲットリッチ・オア・ダイ・トライン (2005)
9発の銃弾を浴びながら奇跡の生還したというマッチョなゴリララッパー、50CENTの自伝的映画。なんとなく8mileの商業的成功があったから作られた映画のような気がしないでもないけど、好きな人は見ておけばいいかも。ちなみに50Centには全然惹かれない。(笑)
26. アメリカン・ギャングスター [American Gangstar] (2007)
1968年、ニューヨークで成り上がる黒人ギャングスターと麻薬捜査官の戦いを描いた作品。RZAやコモンも出演している。
27. ノトーリアス・B.I.G [Norious] (2009)
東西ラップ抗争の中心人物であり、被害者ともなったノートリアスBIGの生涯を描いた作品。あまり語られることのないリル・キムやフェイス・エバンスなんかとの出会いや関係も描かれている。ビギー好きな人が見ても、結構楽しめると思う。
28. Just Another Day (2009)
未見。異なるラッパーの一日を描いた作品らしい。
29. アート・オブ・ラップ (2012)
ラップにフォーカスしたドキュメンタリー映画。
30. ギミー・ザ・ルート〜NYグラフィティ〜 (2012)
ニューヨークでグラフィティに夢中になっている10代の男女の日常を描いた作品。派手さはないがギャングではない少し悪い少年達がどのような環境で生きているかがリアルに描かれている。
31. ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ ~ア・トライブ・コールド・クエストの旅~ (2013)
みんな大好きATCQ。ATCQが生まれた背景や、デ・ラ・ソウルやジャングル・ブラザーズと並んでネイティブ・タンができた流れ。幼馴染であるQ-tipとファイフの仲違いと愛憎。ギャングではないヒップホップの歴史を抑えるためにも見ておきたい作品。
32. タイム・イズ・イルマティック (2014)
豪華プロデューサー陣によって作られたhiphopの伝説的名盤Nasの『illmatic』が誕生した背景に迫ったドキュメンタリー映画。
33. ストレイト・アウタ・コンプトン (2015)
Dr.DreやiCe Cubeなどが所属していた伝説のヒップホップクルー『N.W.A』の結成当時から解散後の活動までを描いた作品。思わずニヤッとしてしまうほど俳優陣がホンモノそっくりな作品。シュグ・ナイトがサグすぎる。
34. Dr. Dre: Another Beat (2016)
ラッパーであり、トラックメイカー、プロデューサーでもあるDr.Dreのドキュメンタリー映画。
35. オール・アイズ・オン・ミー (2017)
2Pacの映画
36. Everybody’s Everything (2019)
Lil Peepのドキュメンタリー映画
まとめ
振り返ってみると結構な数があるもんですね。
わりと観てるつもりだったけど、見てない物が多いうえに、断片的にしか覚えていないものも多かったので、久しぶりにヒップホップくくりでちょこちょこ見直してみようかと思います。
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