新進気鋭のデザイナーによる飾らないエッセイ
デザイン事務所nendoの代表、佐藤オオキ氏によるデザイン論についてのエッセイ本です。
佐藤オオキ氏と言えば建築あがりでありながら、ロッテのAQUOのパッケージデザインなど、ジャンルを問わず活躍しているデザイナーです。
これまで作品という《結果》を目にすることはあったものの、《過程》とも言える彼自身のデザインについての考え方や手法について触れる機会はありませんでした。
カナダ生まれで早いうちから世界的に活躍していたこともあり、キャリアとかビジネス志向の強いデザイナーさんなのではないかと勝手にイメージしていたのですが、いい意味で期待を裏切られる内容でした。
本書では1つの作品を紹介するのにエッセイのような文章が綴られていて、最後にさらっと作品が紹介されているのですが、胃腸が弱いとか、休日はゆっくりテレビを見て過ごすだとか、本全体をゆるーい脱力感が覆ってるんですね。そのゆるーい脱力感を感じさせる文章で油断してると最後に作品が出てくる。
もちろんその作品の多くが、おぉと感じさせるデザインなんですね。
この感覚どっかで感じたことあるなぁと思ってたらアレでした。
普通の人だと思って気軽に話してたら、実はスゴい人だった時のアレに似ています。
というわけでこの本、作品集でもあり、デザイン論での本でもありながら、その実、親しみやすい人間性と作品紹介で佐藤オオキのファンにさせてしまおうというブランディングが大成功している本でした。
自分が雑誌の編集長とかやってたら連載しませんか?
といいたくなってしまう絶妙な文章はデザインに興味がない人でも楽しめそうな本です。
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