あなたにとって大切なのはお金か時間か?
哲学的な議論にもなりえて、ただの不毛な議論にもなりうる。
そうわかっていながらも、そんな問いについつい盛り上がってしまうアナタは、きっとお金か時間の前に自分の価値観を大事にしたい、もしくはその価値観が正しいのだと確認することで安心したい人なんですよね。
禅問答にすらならないわけのわからない書き出しから始まってしまいましたが、そんなアナタに読んでいただきたい本です。
ワーク・シフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図 <2025>
そこそこ内容の充実した本なので、サラっと読むには向きませんが、これによって人生を軌道修正できたとすれば、この本にかける数時間は無駄ではないのではないでしょうか?そもそも扱っている時間軸が違うのです。
2025年、世界はどのように状況になっていて、その時、自分たちはどのように働いているのか、どのように生きているのか?壮大なテーマを、これから起こるべきであろうと想定される様々な要因などを考慮しつつ、多角的な側面から分析した働き方の変化(WorkShift)についてまとめられた本です。
著者のリンダ・グラットンはロンドンビジネススクールの教授で経営組織論の世界的権威であり、英タイムズ紙の選ぶ「世界のトップビジネス思想家15人」のひとりだそう。そんな人が長い時間かけて書いた本なのです。ありがたく数時間でそのエッセンスをいただこうではありませんか。そんなわけで本書の内容をかいつまんで説明しますと
まず最初に著者は未来を考える上で無視できない五つの要因をあげています。
その五つの要因とは
1. テクノロジーの進化
2. グローバル化の進展
3. 人口構成の変化と長寿化
4. 社会の変化
5. エネルギー・環境問題の深刻化
今後生きていく上で確実に体験するであろう大きなインパクトですね。
技術革新による状況や条件、環境の変化など1つひとつ掘り下げて説明しています。
そして著者はこれら五つの要因に対して、主体的に未来を築くために必要な3つの問いを投げかけています。
1. 自分と周りに影響を及ぼす出来事やトレンドは何か?
2. 自分の職業生活において影響を及ぼす要素は何か?どのような影響を受けるか?
3. 波乱の時代を乗り切るキャリアを築くためにこの5年間で何をすべきか?
本書では世界の様々な土地で生きている人をモデルとしてマクロな要因がミクロな個人レベルに起こりうる悲観的な未来と、楽観的な未来の両方の側面を提示しながら、今後私たちがどのように生きていけばいいのか、どのような備えをしておくべきなのか?について考えていて、著者は知識・技能・行動パターン・週間などを根本からシフトする必要がある。と主張しています。そして仕事の世界で必要な三種類の資本として知的資本、人間関係資本、情緒的資本の3つを上げています。
知的資本においては、広く浅い知識を持つのではなく、いくつかの専門技能を連続的に習得していかなくてはならない。とムチを打たれ、人間関係資本では孤独に競争するのではなく、他の人たちとつながりあってイノベーションを成し遂げることを目指せと諭さ
れ、情緒的資本では自分自身を理解し、自分の選択について深く考える能力と強靭な精神をはぐくむ能力を持てと説かれます。
いや言ってることは納得できます。
おそらく正しいでしょう。
でも、正直に言ってしまうと
『先輩、まだ走るんすか?』
そんな気持ちを抱きながら二宮金次郎にでもなったかのような読書であったこともまた事実です。
そもそも連続して専門技術を習得しなければならないとか、簡単に言い過ぎている気はしますし(きっと、この人はできる人なんでしょう)楽観的なケースですらワクワクする要素がない。何が足りないって言われちゃうとユーモア?なのかと思ってしまいます。
「教授!楽しまないと成長できないタイプの人間がいることを小学校にお忘れではないでしょうか?」
とつまらないツッコミを入れたくなります。
学校にカバンを置きっぱなしにして来たZEEBRA(某ラッパー)と正反対の人なのだという事を理解しながら読み進める必要性はありそうです。
で、この本が正しいのか?
と言われると、正しいかもしれません。
読んだ方がいいか?
と言われると、読んだ方がいいかもしれません。
曖昧な答えではありますが、今後数年間は未来を語る時に、かならず引用される類いのインパクトのある本だからです。
教養のない人は権威に弱いとは誰の言葉だったかは忘れてしまいましたし、ひょっとしたら権威のある人の意見だったかもしれませんが、そんな権威に弱い大人が読めば、これ一冊で人類とその未来を語りだしてしまうほど危険な本でもあります。
そもそも的外れなことを言ってるとは思わないし、影響を受ける人が多ければ多いほど、そこに近づいていきそうな気もします。
知らないで取り残されるより、知ってて参考にするか、参考にしないかの2択であれば、知っているほうが有利であることに変わりはないので、読んでおいた方がいいのだと思っています。
ということで読書自体が苦痛でない人は一読されることをオススメいたします。
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