鎌倉北東部と横浜市金沢区を繋ぐ朝夷奈坂切通し
鎌倉は南を海に東西北を山に囲まれた地形になるため、昔の人たちが鎌倉に出入りするために山を切り開いた交通路があります。それらは鎌倉七口(かまくらななくち)と呼ばれています。
鎌倉七口
今回紹介するのは朝夷奈(あさいな)切通し。
鎌倉市十二所(じゅうにそ)から、横浜市金沢区の六浦を繋ぐ交通路です。
現在の北東部には地元民に渋滞ポイントとしても知られている朝比奈峠が主要な通りとなっていますが、朝夷奈切通しは山の中を通る昔ながらの散策路として今もその姿を残しています。
朝夷奈切通しへ
今回は鎌倉から少し距離があるため、金沢文庫行きのバスに乗り、バス停『朝比奈』で下車。すぐ近くに朝夷奈切通し入り口を示す看板があります。
一見、切通しがあるとは思えない通り。
しばらく奥へ進むと分岐があります。
国史跡 朝夷奈切通
こちらは横浜市国際観光協会によるもの。
鎌倉幕府は、仁治元年(1240)六浦津との重要交通路として、路改修を議定、翌年4月から工事にかかりました。執権北条時時自らが監督し、自分の乗馬に土石を運ばせて工事を急がせたといいます。
当時の六浦は、塩の産地であり、安房・上総・下総等の関東地方をはじめ、海外(唐)からの物資集散の港でした。船で運ばれた各地の物資は、この切通を越えて鎌倉に入り、六浦港の政治的・経済的価値は倍増しました。
また、鎌倉防衛上必要な防禦施設として、路の左右に平場や切岸の跡とみられるものが残されています。
鎌倉市境の南側には、熊野神社がありますが、これは鎌倉の良(鬼門)の守りとして祀られたと伝えられています。
鎌倉七口の中、最も高く嶮岨な路です。
他の史跡でも見慣れた史跡看板があります。
朝夷奈切通は、鎌倉幕府が、仁治2年(1241)に鎌倉と六浦(横浜市金沢区)を結ぶ重要交通路として、山稜部を開削して建設した道路です。幕府の歴史を記録した『吾妻鏡』には、執権北条泰時が自ら現場に出向いて、工事を指揮したとあります。当時の六浦には天然の良港があり、切通の開通によって幕府はこれを鎌倉の外港とし、東国や中国大陸との物流の拠点としました。六浦と朝夷奈切通は、幕府と都市鎌倉を政治的・経済的に支える重要な役割を果たしました。
朝夷奈切通は、その後崩落するたび改修されて現在に至っていますが、横浜市側に小切通、市境の峠に大切通という山を深く切り下げた特徴的な遺構や、道沿いに中世の納骨施設である”やぐら”が多く残っています。また、大切通の南側山腹には、鎌倉の守護神と伝えられる熊野神社があり、江戸時代に再建された後、氏子たちによって社殿と祭事が現在に受け継がれています。
ということで分岐を右に折れ、先に進むと右手に石碑群が見えます。
横浜横須賀道路(通称:ヨコヨコ)の下を進みます。
草木に囲まれた1本路を進みます。
進みます。
なんか見えてきた。
なかなかの見事な切通しです。
いいですね。
その後、木々の中を抜けて行くと
分岐点があり、左手には熊野神社があるようです。
熊野神社の案内版。
とりあえず、熊野神社に行ってみることにします。
少し進むと右手にやぐらのようなものが見え
さらに進むと、路が綺麗に整った平坦な場所に出ます。
熊野神社の鳥居が見えてきました。
階段を登ったところ
手水舎には水がありませんでした。
まぁ、無理もないですが。
さらに裏手にある階段を登った上にも社がありました。
神社を後にし、再び分岐地点まで戻ります。
よく見ると岩肌がゴツゴツしていて結構ワイルド。
少し坂を登ります。
木々の合間から光がさしてきます。
少し進むと右手にやぐらのようなものがありました。
道は緩やかな下り坂になるとともに、地面が泥濘みはじめます。
右手に仏像らしきものがあります。
振り返ってみたところです。
写真ではわかりにくいですが、かなり泥濘んでいました。
転びこそしませんでしたが、何度か5cmほど滑ることがありました。
だんだん高低差がなくなってきました。
路が綺麗になってきたと思ったら
通りの脇に小川のようなものが。
石碑がありました。
入り口脇に小さな滝みたいなものがあります。
しばらくこのような路を進んだ後は、ぱらぱらと家が現れはじめます。
こちらが十二所川の入り口。
まとめ
鎌倉七口の中では最も距離が長く、自然の姿を残している切通しでした。
史跡看板では、この切通しを越えて六浦の塩が鎌倉に運ばれていたと書かれていましたが、十二所から鎌倉寄りにある光触寺というお寺にも塩舐め地蔵がありました。
他の切通しが鎌倉攻略の際に攻められたという逸話が残っているに対して、朝夷奈切通しからは当時の交易の名残を感じることができたのも新鮮でした。
アクセスはしづらいですが、他の切通しと比べて歩きごたえもあるのでハイキング気分で歩いてみてもいいのではないでしょうか。
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