ロールモデルがない時代のワークスタイルケーススタディ本
バブル経済が崩壊し、終身雇用制度など従来の価値観が薄れ始めてから十数年経ち、ロールモデルが存在せず、救世主を求め、祭り上げたり蹴落としたりする混沌の時代にこそふさわしいワークスタイルのケースステディ本といった趣のある本です。
この本を読んで、昔読んだ本でこんなのあったなと懐かしく感じたので思い返してみたら立花隆の『青春漂流』と構成や読後感が似ている気がしました。
青春漂流は、世の中になじめず、どこか迷いながらそれでも進んでいくという生き方を『漂流』と題していましたが、それに比べると、こちらの本では「勤めない生き方」という価値観を肯定も否定も、煽ることもせず、よりフラットに捉えている潔いタイトル自体が、時代の空気感と世の中の認識に大きく変化があったことを物語っている気がします。
僕は定期的に本屋さんに足を運び、書棚を斜め読みすることで時代を確認する作業を続けてきたつもりなのですが、こういうタイトルの現す時代感というのはとても興味深いですね。
本書の構成
本書は5章構成になっています。
- 第1章「職人」で生きる
- 第2章「地域」で生きる
- 第3章「お店」で生きる
- 第4章「農」で生きる
- 第5章「NPO」で生きる
どれも会社員ではない生き方を考えた時に候補としてまず思い浮かぶ代表的なものと言えそうです。
全13人の生き方を全て読んでもいいし、やりたい事が固まっているのであれば、自分に関連するところだけ読んでもみてもいいのではないでしょうか。
感想
当然この本を読んだだけではそれぞれの経験してきた失敗など、多くのことを知る事はできないですし、教科書ではないので、ただ経歴をなぞるようなこともできないでしょう。
しかし、自分の譲れない部分や妥協できる部分などを見直した上で、異なる生き方を選択するためのヒントとして参考になる内容の本だと思いました。
ちなみに第3章の『「地域」で生きる』の3人目にR不動産を運営する建築家の馬場正尊さんが登場するのですが、僕は馬場さんの講義を桑沢デザイン研究所に通っている時に聞いたことがあります。
話自体がものすごく面白かったのですが、その時に馬場さんの言っていた言葉で強く心に残ったのが、『情報は発信している人に集まる』という法則めいた言葉でした。
僕はそれ以来、自分の関わるクラスタ毎に役に立つと思われる情報を発信したりするように心がけるようになりました。
時代の変化を見ようとしなかったり、わかったフリをして新しい価値観を拒絶するのではなく、時代を正しく認識して、参考になる部分は柔軟に取り入れていける生き方をしていきたいものだと思いました。
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