大企業に育つまでの過程をケーススタディとして解説した読みやすい起業本
ユニクロの監査役である安本 隆晴さんによる著書です。
第一章の柳井社長との対談からはじまり、第二章では成長段階で起こる出来事や考え方、第三章ではビジネスモデルやプランについて、第四章で採用や人事面での話、第五章で成長を加速させるための話、そして第六章で上場についての話に触れていて起業から上場までをユニクロや一部他の会社において経験した事例をケーススタディとしながら大事な考え方や心構えなどについてかかれています。
この手の起業本などを読みあさっている人には、いろんなところで目にする考え方ばかりのように感じてしまいますが、あまりそのようなジャンルの本を読んでいない人にはバランスの良い読みやすい本だという印象を受けました。
ただし、この本のタイトルにもある「起業」から、第六章の「上場」までの期間を現実的に考えると、すでに起業していて各フェーズにおける何らかの課題に向き合っている人にとっては実践的な本とはいえないかもしれません。
起業を選択肢のひとつとして考えていて、起業したらどのようなことが起こりうるのか、どのようなことを考えるべきなのか、ということをイメージさせるための本であり、そういう意味では大学生や、働きだしたばかりの人などに一番有益な本なのかもしれません。
本書で触れられているポイントなど
起業家に必要な知識や能力
起業家にとって専門の分野以外にもカバーすべき必要な能力として本書では5点あげています。当然のことながら、それぞれの項目自体が1冊の本でどうこうできる内容ではないので深くは掘っていません。
- リーダーシップ力
- マネジメント力
- マーケティング力
- 会計思考
- 会社法、労働法、業法などの必要最低限の法的知識
ファイナンスについて
銀行からの借り入れ以外にもクラウドファンディングやエンジェルについてなども触れられています。
借入金のコストは利息、資本金のコストは配当金として、お金にもコストがかかっていることを経営者は理解しておくべきとのこと。
ビジョンについて
全社員とビジョンを共有することの重要性と、ビッグピクチャーを描き、それを数値化して逆算することで、その時期に、一体何をしていなければならないかを認識する。
人材や組織論について
組織が大きくなっていくにつれて生まれるロスを解決するための考え方や人事評価基準などについて。
能力差の問題は「標準作業の徹底」と「マニュアル化」によって解消し、誰か1人の権限の集中に伴って生じる仕事の滞留問題は思い切った「権限の移譲」によって解決するとのこと。
会社のとるべき経営戦略に基づいて必要な機能(仕事の種類とプロセス)を整理・展開し、仕事の塊ごとにあるべき姿を表現したものが組織図。
読んでみての感想
各章において、その先のことが知りたいと思ってしまうくらいのところで終わってしまう物足りなさを感じる本でしたがボリュームと扱う内容が広いので仕方がありません。個人的には新しく得るものはなかったですが、大学生ぐらいの人が読めば、何を学ぶかを考えるきっかけになったりしていいのではないかと思いました。不慣れな土地で最初に手にする地図的な意味合いで手にするには良い本だと思いました。
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