ライフネット生命の出口社長による『私の読書論』という講演会に参加してきた。

2012年8月22日
2016年7月6日
gappacker
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渋谷のCO-BA Liblaryで行われたライフネット生命の出口社長による『私の読書論』という講演を聞いてきました。

主催はグループスケジュール調整サービス『伝助』の作者であり、インタビューサイト『ひとごと』をライフワークとして運営されている清水宣晶さんです。
清水さん、お声かけいただき、ありがとうございます。

さて、出口さんの経営されるライフネット生命はインターネットを活用し、窓口販売を減らすことで人件費や家賃などのコストを抑え、保険費用を安くするという、出口さん曰く『缶ビールモデル』のビジネスをしている会社です。『缶ビールモデル』とは居酒屋のようにお店も店員もいないのでビールを安く提供できるという意味ですが、さらにソーシャルメディアや口コミを通じた新規加入者の獲得というスタンスで業界に一石を投じ、最近メディア等への露出も増えている保険業界のベンチャー企業です。

出口社長は昔から読書が好きだったそうで、本を開くと一気に没頭してしまうのだそうな。
そんなわけで今でも週に1,2回は電車を乗り過ごすというオチャメな一面もあるそうです。

「本を読むか」、「人に会うか」、「旅をする」という3つで人は成長するというのが出口社長の持論なのですが、中でも本は数百円で過去の知と過ちを追体験できるという意味でコストパフォーマンスに優れていて、中でも古典を読んだほうが新著を何冊も読むより為になると仰られていました。
(※ちなみに僕は3つどれも好きなのですが特に結果を出せていないのが目下の悩みではあります。。)

出口社長がこれまで特に多く読んできた本のジャンルは歴史、宗教、美術史なんだそう。
中でも歴史についてはかなりの情報量をお持ちのようで、現職につくまでは東大の図書室にて5,000年史を書き上げていたそうです。

そんな出口社長によるお話を聞いている中で読書論を自分なりにまとめてみました。
※ 録音したわけではありませんので言葉は多少異なるかもしれませんが、ニュアンスは概ねあっているかと思います。

・古典を読む
・最初の数ページがつまらない本は読まない
・読んだ後に何かが残る毒のある本を読む
・速読はせずに本と対話する
・仕組み化、習慣化する

h2古典を読む

現在出ている新著の多くが古典の焼き直しであり、それであれば古典を読んだほうがよい。
技術や科学は進化したが脳や感情は進化していない。そこには多くのヒントがある。
「古典を読んで分からなければ、自分がアホだと思いなさい。
新著を読んで分からなければ、著者をアホだと思いなさい。」
という彼の恩師の言葉は確かに納得できる。

h2最初の数ページがつまらない本は読まない

最初の数ページがつまらない本がいい本である筈はない。
そういう本はすぐに捨てるとのことでした。
もっともだと思いました。
読まなきゃって思う本は頭に入らないですよね。

h2読んだ後に何かが残る毒のある本を読む

当たり障りのない本を読むよりはズッシリとした毒のある本を読むほうがいいとのこと。これはまぁ読んでみないとわからないこともあるのでなかなか難しそうですが、無難な本に逃げないという姿勢は実践できるかもしれません。

h2速読はせずに本とじっくり対話する

これは出口社長が多く読んでいる本のジャンルもそうなのかもしれませんが、速読するような本達ではないですね。じっくり読んで知を深め、次の読書の糧になるような連続性のある読書をしているのだと思いました。

h2仕組み化、習慣化する

出口社長は6時に起きて新聞3紙を読むという習慣ができているそうで、なにかと仕組み習慣化するのは大事だと仰っていました。
※例えば週に何冊の本を読むなど。

後半は質疑応答というカタチでしたがその中で本の探し方に関する質問があったのですが、これはもう3紙とっている新聞の書評で決めるそうです。
「書評欄というのは新聞の中で最もまともなページである。」
そう聞いた瞬間、なぜか「日付以外は全て誤報」という某スポーツ新聞を揶揄したフレーズを思い出しましたが、出口社長は1週間のうちに出される50冊くらいの書評の中から「これだ」というものを見つけ読むそうです。
他にも様々な質問が出ましたが、各質問に丁寧に答えていた気がします。

質疑応答の後は参加者50名程に出口社長も加わって懇親会が行われました。
一人一人と挨拶して名刺交換をする出口社長はトップセールスをしているのですが、そこに圧力のようなものがない方でした。
不思議な程、オーラがないというか、気づいたら真横にいるような、人との距離を感じさせない能力が著しく高い人だと感じました。
町内会にいそうな物知りなおじいさんといった感じです。(いい意味ですよ。)
きっと声を荒げて怒鳴り散らすようなタイプの人間ではないと思います。

経営論のような質問が出た時は「経営者の仕事の95%は社員が朝起きて会社に行きたいと思える環境を作ること。そして残りは決断すること。」
そして「うちには岩瀬と言うプレゼン能力の高い、外務大臣のような人間がいる。そして中田のようにコミュニケーション能力の高い内務大臣のような人間もいる。」そういっていたのも印象的でした。

淡々とした話口調でしたが、あっという間に時間が過ぎました。
ちなみに出口社長がお話しされている時に地震で少し揺れました。

終わった後にTwitterで
“ライフネット生命の出口社長のお話を聴いてる最中に揺れたのは巧妙に計算された広告手法だと考えると出口さん、ハンパない。”
と呟いたところしっかり捕捉されました。
SNSさん担当の方もしっかりお仕事されているようですね。(笑)

最近、本を読む量が減っていたので「自由論」以外にも古典と呼ばれる作品を、そしてせっかくなので出口さんのオススメリストからも何か選んで読みたいと思います。
出口さん、ありがとうございました。


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