効果的な指示の出し方とは
人を動かして何かを行う時、その正否を決める一番重要な要素は指示の出し方に負うところが大きい。
日雇い労働していた時に気づいた、効果的な指示の出し方についてまとめてみる。
毎日現場の異なる日雇いバイトの環境
一時期、今ではあまり聞かなくなった日払いのバイトに毎日のように入っていた時期があった。
業種は様々、資材の搬入や建築現場のガラだし、職人さんの手元作業、引っ越し、製造業、倉庫内作業などがあり、主にガテン系のものが多かったが、一回きりの作業も含めれば様々なものがあった。金銭的には条件がいいものとは言えないかったが、作業後が終了した後に事務所に行けば、すぐにお金が貰え、スケジュールの自由も利いた。
作業に入る回数や経験に応じてEランクから徐々にランクが上がっていき、ランクに応じて金銭的な条件が少しづつ良くなって行く。
個人で行く現場もあれば、複数人が集合場所で集まり、現場に向かう事もあった。複数人が集合場所で集まる時は当然バイト内でのリーダーが必要になる。
毎日のように仕事に入っていると当然ランクもあがり、人間的になんらかの問題がなければ、点呼作業や連絡係なども任せられるようになる。
それによって特別な手当があるわけではないのだが、内勤の人が時々楽な現場を振り分けてくれたり、仕事振り分けの優先順位を上げてくれたりといった持ちつ持たれつの関係があった。
仕事が楽だった理由はメンバーではなく、指示の出し方だった
仕事がある日はあらかじめ目的地を調べ、集合場所で点呼を行ったあとに現場に向かう。
現場に到着して担当者に電話をすると、多くの場合、その時点で初対面の人から作業の指示を受ける。
つまり、続き現場を除いてほぼ毎日、新しい上司の指示を受けるという作業環境である。
自分と同じように頻繁に作業に入っている人間とは現場で一緒になったりして顔見知りになる。
やはり、能力の高い人間はどこでも光るので、そんな人と一緒の現場な時は仕事がしやすかったりすることが多い。
「多い」と書いたところに実は意味があって、この記事の根幹でもある。
ある日、仕事のできる人間が揃った「楽な日」であるべき一日が上手く回らない事があった。
違和感を感じていた数日後、今度はメンバーが覇気のない学生だらけの「最高に不安な日」が来た。
ところがその日の作業はすんなりと終わってしまった。
これといって特別、作業内容が楽だったわけではない。
そして、それが作業指示の出し方の違いによって差が出ている事に気がつくのに時間はかからなかった。
「何が違うんだろう?」
翌日からは作業指示の出し方と、その作業の進み具合を観察しながら作業に取り組んだ。
自分が作業がし易いと感じた指示だけでなく、全体が効率的に機能している指示の出し方については特に注意深く観察した。
そしてそこには共通点があった。
それが次の3点である。
効果の出る指示の出し方の3原則
- 作業前にゴール地点に明確にし、それをしっかりと作業者に伝える。
- 禁止事項と注意事項を簡潔に伝える。
- 平均的で標準的な手順を説明する。
そんなに驚きはないかもしれない。
しかし、これを行うだけで、行わない時と比べ、作業効率に雲泥の差が出るのを何度も確認した。
そしてこれは、どれか一つがかけても効率が下がってしまうので、必ず3つセットで伝えなければならない。
1. 作業前にゴール地点に明確にし、それをしっかりと作業者に伝える。
ここは一番、省かれがちな部分である気がする。
作業自体が大きな行程の中の一部分である場合も
最終的なゴールと作業に携わる人間の行程のゴールを明確にすることは大事である。
ゴールのわからない作業ではモチベーションや集中力のコントロールが難しく、能力を発揮するのは難しい。
2. 禁止事項や注意事項を簡潔に伝える。
こちらはどちらかというと無駄な損失やリスクを避けるために伝える人は多い。
しかし、ここだけが強調されると作業従事者が必要以上に萎縮してしまい、能力を発揮できない恐れがある。
3. 平均的で標準的な手順を説明する。
こちらも指示を出す際に大抵の人は伝える。
しかし、能力の高い人に限って省く傾向があるように思える。
ゴールだけ伝えて、あとは自由にやっていいよ。というパターンの指示である。
このような指示は一見、自由度があり、個を尊重しているようにも思えるが、あまり機能することはない。
それどころか上記2番で述べた禁止事項を聞いている場合は、リスクを恐れ、過度に無難な選択をする。
結果、作業効率が落ちてしまうことがある。
なぜ、作業指示において、この3つを順序立てて説明すると作業効率が高いのか。
それは集団において、異なる人々の特性を包括的にカバーできているからだと思う。
平均的、標準的な作業内容を教える事で全体における最低限の作業効率を確保しつつ、ゴールと禁止事項だけ押さえておく事で作業効率の改善に対しプラスに働くための余地は残してある。
人は誰でも得意な分野とそうでない分野がある。
創意工夫が得意な人間や、決められた事を正確にこなすのが得意な人間、論理的な人、感覚的な人など様々である。
個人に仕事を依頼する場合は、その人の特性に合わせて指示の出し方を変えたりする。
しかし、異なる個性が集まった組織において最大成果を求める為には、指示の出し方が最も重要である。
もしも、仕事で指示がうまく機能していないと感じた場合はぜひとも試してもらいたい。
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