枕元に置いておいたiPhoneの時刻は7:30を表示していた。
ガバっ。
あれっ、目覚まし7時にセットしたよな??
今日、同じフェリーに乗ることが分かっていた自転車で鹿児島に来ていたケンタも起きて用意を始めてる。
ん?彼もちょっと焦ってないか?同じく寝坊したクサい。w
というわけで慌ただしく整理を始める。
あいにくフェリー乗り場はここから歩いて5分かからない距離にある。
朝食を食べるタイミングを失ったくらいだな。
しばらくしてケンタは自転車を積まなければならないと言うことで宿を先に出る。
「後ほど!」
荷物を整理して全ての準備が整った時はすでに8時を少し回っていた。
早足でフェリー乗り場に向かう。
鹿児島から屋久島に行くフェリーは3種類ある。
一つはホッピーと呼ばれる高速船で片道2時間8000円くらいかかる。
次に1日に1本しかないフェリー屋久島2という片道4時間で4000円程度(往復だと7900円)のもの。
そして種子島を経由してから屋久島に行く種屋久線フェリーがある。
俺が乗るのはフェリー屋久島2だったのだが、一度ホッピーの乗り場に行ってしまい、この時は結構焦った。
屋久島行きフェリーと書いてあったので同じところから出るのかと勘違いしたためだ。
少し奥まった場所にあるフェリー屋久島2のチケット売り場に着いたのは8:22、しかも前の若者グループがのんびりと準備をしている。
こういう団体客で、一人も周りの見える人間がいないグループは痛い。
僕はあせってるんですヨ。
5分前にチケットを買い、なんとかフェリーに乗り込む。
恐らく一番最後にフェリーに乗り込んだんじゃなかろうか。
船内は中々の広さで、うどん屋さんと土産物屋、シアターと簡易ゲームセンター(ショボい)がある。
船の機械音はけたたましいが、当然デッキにも出られる。
このサイズの船に乗ると10年程前に3ヶ月間の東南アジア旅からの帰り道に乗った上海-大阪間を結ぶ鑑真号を思い出す。
そういえば鑑真号には本屋があって店員(船員)がメチャクチャ可愛かったなぁ。
しばらくエアコンが効きすぎて寒い船内をうろうろしていると、今朝宿でお別れしたケンタが現れた。
「乗り遅れたかと思いましたよ。w」
無理もない。
乗り込んだの最後だしね。
少し話してから二人でうどんを食べた。
船内をフラフラしてから、その後2等室でしばしの雑魚寝。
到着30分くらい前に起きて会話を始める。
まだそこまでお互いのこと話してなかったので改めて自己紹介というか会話を始める。
なんだか船上でのコーヒーミーティングみたいである。
30分か1時間くらい話した時にデッキに出ると屋久島はもう近くに見えてきた。
来たーーーーっ!
何十台乗り継いでここまで来たことか。
数々の試練が思い浮かぶ。(主に東名60km事件)
高まるマイソウルは自然と俺の足を接岸前のタラップへ。(早すぎる)
ケンタはチャリがあるので船内でお別れ。
船はゆっくりと接岸しタラップが降りて行く。
屋久島一番乗り。(乗ったのは一番最後w)
船から降りるとすぐにフェリーターミナル内のコインロッカーを探す。
宿に泊まって町観光する時用の大きめのウエストポーチ(もっとオシャレな言い方なかった?)に不要なものを入れて預けます。
確か一日200円だったかな?
17時に建物が閉まると言うので、山に行くと言ったらその場合は鍵を受付に預けるそうなので素直に従う。
で、今度はバス停を探すんだけど、直接目的地のヤクスギランド方面に行くバスがない。
俺が買ったガイドブックには直接行くような感じで書いてあったんだけどな。
ちょっとオシャレな感じだしてる登山に行く格好のお兄さんと話すと、「このバスは安房行きですよ。」
惜しい、方角あってるけど、俺はその先に行きたい。
で、こうなったら来たバスに聞くしかないっつーことで、丁度やって来たバスの運転手さんに聞いてみる。
すると、後ろのオシャレ兄さんのほうを指して
「あそこに次に来るバス乗って」
あ、あっちのに乗るのね。
で、次に来たバスの運転手さんに聞くとどうやら乗り換えないとダメらしい。
合庁前で乗り換えるらしい。
で、バスは進み出す。
思っていたよりも屋久島は大きくて結構な距離を走る。
帰宅時間に被ったせいか、途中で学生が乗り降りしてくる。
皆、例外なく礼儀ただしく、元気に挨拶していく。
乗るときは「お願いしまーす。」降りるときは「ありがとうございましたー。」
微笑ましい。
合庁前到着780円。
おっ、思ったよりも高い。。
意外と距離あったもんなぁ。
ガソリンも高いだろうから当然なのかもな。
で、降りたところで時刻表を確認しようとすると降りたバスの運転手さんがクラクション鳴らして俺の後方を指差す。
そこにはこのバスだけを待っていた運転手のみのバスが止まっている。
あ、アレね。
近寄って行き念のため確認。
「ヤクスギランド行きでいいんですよね?」
コクリ。
「万券しかないんでくずしてきます。」
コクリ。
合同庁舎(?)かなんかの建物で両替してもらいバスに乗り込む。
バスはさらに進み、山道に入る。箱根とかあの辺の感じに似て来た。
しばらく進んでカーブを曲がるとヤクザルが10匹程とヤクシカがいた。
ヤクシカは山の中に消えてったがヤクザルは呑気なもので寝っ転がっている。
急だったので写真は撮れなかったけど、サイズが小さくて、とても可愛らしい。
バスは徐行しながら彼らに動くことを促すように進んで行く。
しばらく山道を走り、ヤクスギランド入り口到着。
ところがここで思い違いをしていたことが発覚。
僕はヤクスギランドを経由して2時間強で淀川口に行けると思っていた。
山の地図ではヤクスギランドの境界が示されていなくルート時間がそう記載されていたためだ。
ところが実際にはヤクスギランド内を通って宮之浦岳方面にいくには、淀川小屋ではなく、かなり距離のある別の山小屋に行くしかなかった。
そして2時前というその時間からでは日が落ちるまでに山小屋に到達するのは現実的ではなかった。
というわけでヤクスギランドは却下。
ヤクスギランド入り口から車道を歩いて登っていき紀元杉を目指す。
途中で辺な植物(コケ?)みたいなのもいたりする。
坂道の車道なので少し退屈だ。
というわけでヒッチハイク再開。w
少ない車が何台か通り過ぎる際に一応親指を上げてみる。
何台かにスルーされ、そこそこ歩いた後に1台の車が止まってくれた。
「どーしたの?疲れちゃったの?」
なんでもレンタカーで登れるところまで登ってみようとしていたらしい。
事情を説明して7,8分車で登ってもらい紀元杉まで行ってもらう。
紀元杉を数分堪能し、再度歩き出す。
しばらくすると今度は川上杉という杉があらわれる。
川上さんが切らないように守ったから川上杉らしい。(これホント)
でさらに歩く。
途中には名づけられていないだけで存在感のある植物達が沢山ある。
これだって「太郎と二郎」とか、「ジャック・アンド・ベティ」とか「お杉とピーコ杉」とか誰かが言い出せばガイドブック載っちゃうんでしょ。
そうこうしていると辿り着いた淀川登山口。
ここでトイレを済ませ、登山計画書をポストに投函します。
遭難者が出て捜索する際、登山計画書がキチンと提出されているとアタリをつけやすいんですね。
ひょっとしたらここらへん落ちたんじゃね?とかですね。
つーわけで入山します。
ここから最初の山小屋までは約40分。
暗くなるまではまだ時間にも余裕があります。
が、さっさと山小屋について飯喰って明日に備えて眠りたいところです。
40分て短いようで長く、長くないけど短くないって距離ですね。
まだかなぁ?って思ってちょっとしたころに着くみたいな。
序盤の感想は特にありません。
というより、黙々登っててあんまり覚えてないんですね。
山小屋に着くと、そとで食事をしている人が7,8人います。
テントも外に2張りあったので一瞬焦りました。
山小屋がいっぱいだと外でテント泊になるんです。
で、僕のテントはショボいのでできれば使いたくなかったんですね。
小屋の前にいた人に「ひょっとして一杯ですか?」
「まだまだ大丈夫だよ」
一安心です。
サッシを開けて中を覗いてみるとまだまだスペースはあります。
どうやら外のテントは何かのグループのアウトドア実習みたいなやつであえてのテント泊らしい。
そんなわけで山小屋泊の自分は居場所を見つけ、陣取ります。
外はまだ明るかったけど、山小屋内はすでに薄暗い。
すぐにエアマットを膨らませ、寝袋とエアピローをセットしていつでも寝れる準備をしておきます。
その後は食材と調理器具を持って外に。
プラティパスからコッヘルに水を移し、お湯を沸かします。
夕食は100円ショップで購入したマルタイラーメンの九州版みたいな棒ラーメン2食分。
具なしでしたが美味しくいただきました。
食事をしながら自転車で屋久島に来たという方とお話します。
アウトドアショップでバイトしていたそうで、いろいろと裏話を聞きます。
あのメーカーは営業がしっかりしてて製品の特徴をよく教えてくれるとか、どのメーカーのどれが良く売れてたとかそんな話ですね。
これはなかなか面白かったです。
食事を食べ終わり、片付けも済んだころには辺りは薄暗くなり始めていました。
明日の起床時間はまだ決めていなかったけど、5時半くらいかと思っていたら皆さんかなり早いみたい。
みんな起きれば起きざるを得ないのであえて目覚ましをセットせずに寝ることにしました。w
明日はいよいよ九州最高峰の宮之浦岳を登ります。
続く。
屋久島ヒッチハイク記六日目。屋久島宮浦岳縦走開始。ついに縄文杉と対面。
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