[書評] くまモンはこうして生まれた。アートディレクター水野学の『アウトプットのスイッチ』

2013年11月12日
2017年5月16日
gappacker
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アウトプットのスイッチ

人気アートディレクターによるアウトプット法についての本

水野学さんという方をご存知でしょうか?
good design companyという直球ど真ん中なネーミングのデザイン会社をやっているアートディレクターです。
少し前だとDocomoのiDの広告や、人気のご当地キャラ、くまモンをプロデュースした人ですね。ここ5年くらいは露出も多めなので、デザインに興味がなくても知っている人は多いのではないでしょうか。

僕は基本的にはサッカーが好きなのですが、敢えて野球、しかも投手で例えるなら

水野さんはコントロールが抜群によいピッチャー。(あくまで個人的な印象です。)

力まずに、いつも丁寧にコースを狙って投げている感じで、振らせたり、打たせて捕るというよりは、見逃し三振させることが多い感じです。派手な変化球やスピードで勝負じゃなくコントロール勝負の人っていうんでしょうか。

本書では彼の作品を通してアウトプット法を力まずに披露しており、サラリと読める内容です。

売れるはつくれる

本書の中で水野氏は売れるはつくれると言い、そのための三原則として下記の3点をあげています。

売れるをつくる三原則
①「ブーム」をつくる
②「ブランド」をつくる
③「発明」する

「ブーム」をつくる

「ブーム」は広告戦略やPRによって生み出す事が可能だそうです。
サラリと言っているわりには相当難易度が高い部分だと思いますが、おそらく本書のテーマから外れるため、敢えてさらりと書いているのだと思います。広告予算やサービス、商品などの組み合わせなどにより戦略は大きく変わるでしょうし、無理もないですね。

「ブランド」をつくる

「ブランド」は商品に関するさまざまな要素の積み重ねによって構築されていくもので、「自分たちはどんなブランドでありたいか。」について明文化しておくことがブランド構築の第一歩になるとしています。

発明する

発明は、必要なのに、今までなかったものか、もしくはすでにあるが、品質、機能、デザインに不満があるために消費者を満足させていないもののどちらかであるとしています。

発想法の一端

水野さんは商品なりサービスの本質を見極め、「目指すべき方向を見つけて、大枠をつくること」という流れの中で採用している方法が、『〜っぽい分類』や『本質とシズルを見極める法』、『情報の整理』などだそうです。
なかでも『〜っぽい分類』はすぐに取り入れられるかもしれません。

動物だったら、何っぽい。
色だったら、何色っぽい。
国だったら、どこの国っぽい。

このようにして様々な視点からサービスや商品を分類してみるのだそうです。

読後感

よみながらウンウンと頷きながら、いつのまにか読み終わってしまい、で、何だっけ?っていう感じに陥りがちな本です。
いわゆる見逃し三振してしまった感じですよね。
読み直すとちゃんとストライク入ってます。
エゴを押し付けられるような違和感もないし、満腹感はないですが、空腹感もないという不思議な本でした。
すぐに活かせるような実用的な本ではないので、人によっては物足りなさを感じるかもしれません。
ヒット商品の裏側にある思考回路に興味がある人は読んでみてはいかがでしょうか。

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