六ヶ所村に行くことになった経緯
青森を目指す車に乗せてもらうまでに、親類が被災に遭われた方や、双葉町から避難してきた方、友人を失った方などからいろいろな話を聞かせていただいていました。
サービスエリアで長いこと車を拾えていなかった僕に、意を決して話かけてくれた歳の近い男性。彼とは車内で青森の話や仕事の話などいろいろな話をしました。そして双葉町から避難している方に乗せてもらったという話をした時に『青森も六ヶ所村があるからね。青森も何かあったら同じですよ。』という言葉が出てきて初めて六ヶ所村が青森だったことを思い出しました。
僕は日本のエネルギー政策において原発が増えすぎたのは、その利権構造にあると確信しています。
時折、冷静な視点で経済のことをわかったような口調で、原発が必要だと言う人を見かけますが、豊かさで大事な感覚が麻痺しているとしか思えません。コストどうこうの前に、処理方法も確立されていない、コントロールもできないようなものが本当に必要でしょうか?別の方向を模索するべきではないでしょうか?
排泄物を子供や孫に面倒見させるのを前提に経済がどうだとか全くもって理解できません。
エネルギーコストが安いって意見もありますが、廃炉費用を入れてなかったり、今回のような事故の後始末も計算に入れてない。仮に核開発のために原発が必要だという軍事オタク的な思想があったとして、原発のようにテロで狙われたら致命的な弱点増やしてどうするのかと思います。
これまで、推進派による説得力のある意見には出会ったことがありません。
六ヶ所村ってどんなところなんだろう?
六ヶ所村が青森であることに気付いた瞬間から、どんなところなんだろうという興味が湧いてきます。
それは別に大層な使命感を持っているというわけではなく、純粋な好奇心から来るものです。
もともと僕がヒッチハイクを始めたのは、震災が、そして原発事故があったからです。
僕は生まれも育ちも神奈川県であり、徒歩県内にコンビニがあるのが当たり前、何かあれば1時間で東京に出れるという環境で生まれ育ちました。原発事故が起きてから、僕は脱原発デモにも何度か参加したりしていますし、今も脱原発に対するスタンスは変わりません。しかし実際に地方を見て回ると、首都圏とは経済規模や産業構造が違うことなどが目につきます。それまでは、なぜ地方が原発を受け入れてしまうかが全く理解できていなかったのですが、それは地方の現実に対しての想像力が欠如していたからでした。
そんなわけで今回、六ヶ所村はどんなところなのだろう。
自分の目で見てこよう。
僕は車内で会話をしている間に、六ヶ所村に行くことを決めていました。
そして六ヶ所村へ
六ヶ所村は下北半島の付け根にある人口約1万人の村です。
観光資源があるわけでもなく、人口も少ない場所で、あまり行く人はいないと聞いていました。
うーむ。どう考えてもヒッチハイクでは難しそう。
結局、普段は借りる事のないレンタカーを借りて行くことにしました。
片道2時間強のドライブを経て、六ヶ所村に向かいます。
有料道路から六ヶ所村の文字が見えた瞬間、大きな風力発電のプロペラが見えてきます。
(ん?風力発電あるのか?)
しかし、六ヶ所村の表示が出てきた途端に出てくるあたり、普通の人なら何らかの意図があることを勘ぐってしまうでしょうね。僕もそうでした。(この辺の事情はよくわかりません。)
下の写真は有料道路降りてからのショット。
交通量は少なく、両側に拡がる広大な土地の中に時折巨大な施設が見える。
しばらく走ると日本原燃の施設があることがわかります。
ついでなので写真をパシャり。
この写真を取っていたら50mくらい先のゲートの小屋から警備員みたいなのがこっち側に向かって来るのがわかります。
(うわっ、面倒くさそう。)
元々、写真を撮るだけのつもりだったので、走ってくる警備員を視界に捉えながらゆっくりと車に乗り込んで、出ようとすると車が出てきて、近くに停車します。
で、近寄ってくるでもなく、こちらを監視するように眺めています。
ハッキリいってテロ対策ならトロ過ぎるし、プレッシャー与えるつもりなんでしょうが、気持ち悪いですよね。
車を走らせるとゆっくり着いてくる。
500mくらいでしょうか。しばらく車を走らせると少しずつ車間距離があいて行き、追尾を止めた模様です。
人は歩いていませんし、車通りもほとんどないため、気持ち悪い。
仮にハリウッド映画的なカーチェイスになってとしても、誰も目撃者がいなさそうです。
で、こちらが六ヶ所村の役場。
人口が約1万ちょっとの役場としては立派です。
人口17万5千人の鎌倉市の市役所と比べて、サイズもそれほど変わりなく、作りはこちらのほうが立派な気がします。
役場の前には立派な村民憲章が。
念のため、言いますが、ここは村(ムラ)です。
内容が気になる方へ。
なんと志の高い1万人ちょっとの村民でしょうか。
さらに車を走らせてると何やら大きな施設が。
文化交流プラザとのこと。
1万人ちょっとの村民は国際交流にも積極的なんでしょうか。
電源立地促進対策交付金施設。
うんうん納得です。1万人ちょっとの村民だけでこんな施設は建てられませんよね。
しばらく何もない道を走らせ向かったのは原燃PRセンター。
原発の必要性を訴える施設ですね。
子供の日に、僕は未来の子供達のことを考えながら原発について考えてたんですよ。(子供いないけど。)
よくあるこういうやつが沢山あります。
エネルギー自給率を並べ替えるゲームとかですね。
原子力を理解するための施設としては見応えはありました。(人はいなかったけど)
受付に制服来た人と売店の人がいましたが、訪問者はあまりいませんでした。
僕の他には訪問してたのは2組しか見てないです。
現地の子供達向けのワークショップみたいなのもやってるらしく、レポートみたいなのが貼ってありました。子供達の教育にも積極的なようです。
六ヶ所村を訪れてみて
今回、結構な時間をかけて六ヶ所村に行ってみたんですが、本当に何もない場所でした。人は住んでるんでしょうが、あまり人を見かけませんでした。住宅地はもっと別のところにあるのかもしれないですが、行く時も青森の市街地を抜けた後はそれほど車とすれ違う事もなかったですし、寂しい場所ですね。多分6時間くらい近隣を車で動いていましたが、車も50台以下、人も20人くらいしか見てません。その一方で道路は綺麗に整備され、インフラは整っています。
で、ああいうところに大きなお金が流れこんでくる村が潤う可能性が出てきた時に、何か意見があっても声を出せるのか?そもそも意見が届くかどうかすら疑問です。
おそらく声の大きな人や、地域の有力者みたいな人が何か言ったら大抵のことは決まってしまいうんじゃないでしょうか。
それくらい過疎感がしましたし、有力者が抱え込まれたら異論を唱えるのは難しいんじゃないか、そう思ってしまいました。
ちなみに後で他の方から聞いたのですが、六ヶ所村には優れた先生が多く入ってきた結果、学業のレベルが高くなっているそうです。(あくまで聞いた話なので比較対象などはわかりません。)
ちなみにこの記事を書くにあたり、六ヶ所村の住人とは話していないため、あくまで僕が見て感じた印象です。
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