[書評] 優れたリーダーの組織の導きかた『響き合うリーダーシップ』

2013年5月15日
2016年7月6日
gappacker
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響き合うリーダーシップ
著者はイームズやアーロンチェアでおなじみのハーマンミラー社を世界的家具メーカーに育てた伝説のCEOマックス・デプリー。
表紙に書いてあった「ピーター・ドラッカー絶賛」という文字にまんまと釣られ、本書を手に取ったが、ハーマンミラーのCEOの著書とくれば読まないワケにはいかない。
原題は”Leadership is an art” 。

ハーマンミラー社は収益性が高く、生産性も業界一、さらに革新性は誰の目にも明らかな会社とのこと。
イームズチェアやアーロンチェアを生み出した会社であり、もちろん異論はない。

本書の内容を大まかに説明すると、継続的に成長する会社において必要とされるリーダーシップとはどのようなものか?ってことになるのだが、その根幹にある考え方は、いかに人が働きやすく能力を発揮しやすい環境をつくるかということにあり、リーダーによるただのリーダーシップ論というよりは、各個人が能動的にリーダーシップを発揮するための組織論であり、またそのような企業風土を醸成するための経営論とも言えそうな本である。
そんなこともあり、本書はリーダーになろうとする人が、「リーダーはどうあるべきか」という主目的で読むと、少しボヤけた印象を受けてしまうかもしれない。
むしろ経営者や、組織のあり方を考える立場の人が読むべき本だと言えそうだ。

“職場で人々の多様性を認めることで個人を尊重し、その場の状況に応じて適した人間が引っぱり各自の能力を活かせる組織である。”

“リーダーに多様性への理解と受容があれば、社員一人ひとりが、自分は大切にされていると感じることができる。”
“リーダーは組織に推進力を与え、それを維持しなければならない。”
“推進力のもとになるものは明確なビジョン、そのビジョンを実現するための周到な戦略、そして慎重に考えられ、従業員に伝えられた方針や計画。”
“リーダーは「効率性」は人にまかせてもいいが、「効果」にはみずから取り組まなければならない。”
著者はリーダーシップのあり方に言及した上で、各自が積極的にマネジメントに参加することを重要視している。

参加型マネジメント

・参加型マネジメントは人々の潜在能力を信じることから始まる。
・参加型マネジメントにおいて、独断、秘密裏、または質問を受け付けないかたちでの意思決定はありえない。
・リーダーは、人々が良質な関係(従業員同士の関係、取引グループとの関係、クライアントや顧客との関係など)を築けるように、環境をととのえ、仕事のプロセスを変えていかなければならない。

そして、常に組織内のヒエラルキーによってリーダーが決まるのではなく、状況に応じてになるべく人がリーダーになることを奨励している。
後半部分ではこのような企業風土をつくるために、社員に行う質問や接し方などにも言及している。

この至極まっとうな経営スタンスを受け入れられるリーダー(経営者)がどれだけいるのだろうか。
そしてこのような企業風土を生み出すのはそれほど容易ではないだろう。
言うは易し行うは難しである。

ただこのようなスタンスで企業経営を行う会社が増えれば、気持ちのよい社会になりそうな気がするのだ。
経営者の方に読んでもらいたい本である。

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