何が大切かを見直す映画
僕は物が好きだ。
よく考えられたプロダクトを手にした時の喜びといったら、それはもう堪らない。
そんな物欲にまみれた僕にとって、溢れるモノは同時に悩みのタネにもなりうる。
この作品は、フィンランドのヘルシンキに暮らす26歳の青年ペトリが、失恋を機に、ものに溢れた生活を見直す1年間のドキュメンタリー映画である。すべてのものを倉庫に預け、1日1つのものを取り出すことで、本当に大事なものを見つめなおすというもの。
ルール
- 全ての持ち物を倉庫に預ける
- 取り出していいものは1日1つまで
- 1年間続ける
- 1年間ものを買わない
予告編はこちら
映画を観た感想
ものに溢れた生活をしていて、ふとした時に寂しさを感じたり、本当に大事なものが何かを見失ってしまうというのはひょっとしたら先進国で生きている誰もが抱える現代病なのかもしれない。だからこそ、シンプルな生活を見直したり、断捨離や、ミニマリストという概念自体が人気となってるのだろう。この映画は、そんな現代人の抱える問題に向き合おうとしたドミュメンタリー作品とも言える。
数週間とか数ヶ月の「旅」をしたことがある人ならわかると思うが、旅の道中では持つものが限られる。
(※どこかに滞在する旅行ではなく、動き続ける旅)
旅から帰ってくると自分の所有するモノの多さに戸惑いつつも、数日もすれば、すぐに慣れてしまう。
この映画の存在を知った時に、コンセプトに「よくやった!」と思った。
潜在的に持っている「そうそう、それ。そんなのが見たい」というニーズにガッチりはまったような気がした。
で、実際に観て、少しガッカリした。
ネタバレしてもあまり影響のないドキュメンタリー映画なので、少し内容に触れるが、ペトリは1日1つ倉庫から物を取り出すという条件と、それを記憶することに途中で飽きてしまったように思える。
途中で100個を超えた時点で、必要なものではなくなっているとの発言があるし、ルールに従うことが本質とは異なるということこそがドキュメンタリーの「結果」としてリアルなのかもしれない。しかし、何を、どのような順番で選択していったかと、その選択に対するリアクションの記録が不十分であるために、その結論に至るまでの道筋が途絶えているように感じた。
本質ではないと思った部分を端折ってしまったことにより、ドキュメンタリー映画で大事だと思う部分がすっぽり抜けてしまっていて、本人と視聴者との間に意識の乖離が起きてしまっている。
コンセプトがいいだけに、とても残念である。
自分が同じことをやったとしたら、何を選択し、何を思うのだろう。
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