実際に起きた凶悪な事件を映画化
実際に起きた「茨城上申書殺人事件」を映画化したノンフィクション作品。
死刑囚須藤の告発を元にジャーナリストが闇に埋もれていた殺人事件を暴き、犯人逮捕まで導いていった話。
須藤にはまだ誰にも話していない3件の余罪があり、その事件の首謀者は須藤が「先生」と呼んでいた男であった。
作品を観終えて
最初に、この映画は観ておくべき作品だと言いたい。
決して楽しい作品ではない。とても重い、日常の中に潜む狂気を描いている。
園子温監督作品の『冷たい熱帯魚」にも通じる狂気の殺人事件を描いているのだが、それはサイコでもなく、スプラッターでもなく、その辺にいるちょっと危ない人の日常、といった感じがどこか軽く、それが恐ろしい。
その恐ろしさを支えているのが、完全にハマり役ともいえる山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキーである。
三者が魅せる『凶演』
記者として、死刑囚須藤の話に最初は半信半疑で耳を傾けていた藤井(山田孝之)だったが、事件を調べるうちに、疑いは徐々に確信に変わっていき、次第に「先生」を追いつめることに使命感を持ちだす。
映画の中で真相に近づくにつれ、精神的に追いつめられながらも、病的なまでの執念を見せていく。最初はどこか抜けた表情の1人の新聞記者という感じだったのが、徐々にジャーナリストとしての顔つきになっていき、最後には鬼気迫っていく表情に変化していく役づくりが素晴らしいです。
そして須藤(ピエール瀧)。
純粋であるが故に罪を犯してしまうのだと擁護してしまいそうになるほど、どこかに人間味を残しながらも、簡単に殺人を犯してしまう凶暴さを持ったズレ方。問答無用で怖い。凄んだ時の迫力がハンパじゃないです。
そして一見物腰の柔らかい普通のおじさんのようでありながら、お金のためなら人の命などなんとも思わない、正義や悪という概念自体が欠落しているような木村(リリー・フランキー)の理解できない怖さ。
須藤と木村の、タイプの異なる悪のあり方と、事件を追うことで疲弊しいく藤井。
ピエール瀧の凄み、リリー・フランキーのみせる陰湿さ、そして山田孝之の顔面力
ハッピーになれる映画ではありませんが、演者達のレベルのみならず、完成度の高い映画だと思いました。
原作はこちら
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