[映画] マイクで成り上がるヒップホップドリーム『ハッスル&フロウ』

2014年7月22日
2017年5月16日
gappacker
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ピンプが描くヒップホップドリーム

ピンプって言葉知ってますか?
ヒップホップでは頻出ワードなPimp(ピンプ)、日本語でいうところのぽん引きとかヒモみたいな意味なのですが、売春の斡旋などで生計をたてるチンピラのことですね。ちなみにこれがHustler(ハスラー)となると、一気にやり手なイメージに昇格します。
どちらにしても上手くやるには”スマート”や”ワイズ”ではなく”クレバー”さが求められるお仕事(?)なわけですね。

あらすじ

主人公はのDジェイはピンプとして売春婦達と暮らし、ドラッグの売人などをしてその日暮らしの生活をしています。ちなみにドラッグの売人と言ってもケミカルドラッグ(覚せい剤や麻薬)は扱っていませんので、当然のことながらヤク中みたいなのは出てきません。

ある日、メンフィス出身の同世代で成功しているラッパー、スキニー・ブラックが地元に帰ってくることを知り、昔、ラッパーになりたかったことを思い出す。
そしてDジェイはピンプ人生から這い上がりラッパーとして成功するため、リリックを書き、デモテープ作りのために奔走する。

舞台はサウス。テネシー州メンフィス

ヒップホップにあまり興味ない人は、一括りで捉えているかもしれませんが、ヒップホップってものすごい地域性のある音楽なんですね。
詳しい人には怒られちゃいそうな気もしますが、すごい簡単に説明しちゃいます。
土地勘のない人もいるかと思うので、地図も用意してみました。(アラスカとハワイもアメリカですけど省いちゃいました。ごめんなさい。)

アメリカ地図

ヒップホップの歴史(簡略版)

ヒップホップはニューヨークのブロンクスで黒人やプエルトリコ系移民などから生まれたとされています。ディスコでレコードかけながら司会が音楽にあわせて喋りだした延長みたいなノリですね。そこでブレイクビーツやブレイクダンスが生まれB-Boy(ブレイクボーイ)誕生となっていくわけです。

東海岸で誕生したヒップホップは西海岸に渡り、車無しでの生活は考えられない西海岸ローライダー仕様になっていきます。いわゆる野太いベース音が効いたウェッサイ(ウエストサイド)な感じですね。

一気に盛り上がった西海岸と、ヒップホップ生み出した東海岸のどっちがすげぇか、みたいな東西ラップウォーズに発展、メディア上で繰り広げられた舌戦は抗争にまで悪化してしまい、最終的にはビギーことNotriousB.I.Gと、2Pacという東西を代表する2人の偉大なラッパーの死を持って沈静化していきます。ここまではヒップホップと言えば、東か西かみたいな感じだったんですね。(※ビギーの”Big Poppa”とか死ぬほど聞きました。)
Big Poppa – Ready to Die – The Remaster
California Love – Live My Life


ちなみに、日本だとヒッピホップのファッションて、一緒くたにされてますが、東と西で気候も違うので服装も全然違います。
あえてわかりやすく書くなら、革のジャケットやダウンジャケットにダボパン、ティンバーのブーツみたいなのは東。バスケのユニフォームにハーフパンツ、バッシュみたいなのは西。ニューヨークは冬は雪降りますし、必然的にスニーカーよりブーツなんですよ。傾向としては東のほうが野球推し、西の方がバスケ推しの印象もあるような。。まぁ、この辺はかなり乱暴な分類ですけどね。

これまでのヒップホップ映画

これまでのヒップホップを扱った映画は、ほぼニューヨーク州か、カルフォルニア州を舞台にしていたわけです。
そんな中で出て来たのがデトロイト出身でバトルMCのエミネム主演の「8 Mile」。


Lose Yourself – Single – エミネム

デトロイトと言えば、アメリカでも有数の犯罪多発都市です。
そんなデトロイトからホワイトアメリカンであるエミネムが出て来たのは無視できないインパクトだったわけですね。この映画は貧しい環境から這い上がったエミネムのサクセスストーリーであり、彼の半生とMCバトルというカルチャーがメインの映画です。

ここで、この映画『ハッスル&フロウ』に戻りますが、この映画の舞台はメンフィス。
いわゆるサウスと呼ばれる、ヒップホップ不毛の地だったんだけど、OUTCASTの成功あたりから、ダーティサウスとして注目度が高まったエリアです。

元々ニューオーリンズはJazz発祥の地として黒人にとっては特別な場所。ロックやブルースが白人に奪われてもJazzは黒人のものであり、この土地は黒人文化の聖地みたいな誇りがあるんですね。(多分だけど。。)

このエリアのヒップホップ自体はダーティサウスと言うだけあって、下品を押して来る感じが僕はあまり得意ではないんですが、そんな音楽が生まれてくる背景を描いたのがこの映画であり、そう言う意味で新しいタイプのヒップホップを描いた映画なのです。

映画を観た感想

偉そうに長々と書いていますが、僕はアメリカはニューヨーク、ボストン、ワシントンDC、マイアミなど東側とトランジットで1泊だけ滞在したアトランタにしか行ったことがありません。映画というのは過度な演出もあったり、プロパガンダとして使われる事もあるので、鵜呑みにしてはいけないことは言うまでもないことですが、一方で、自分の知らない世界を断片的にでも知れる手段として有効な媒体だと思っています。

この映画はこれまであまり描かれることのなかった南部のことが描かれていたという意味で、作品としても楽しめる以外の部分でも、とても新鮮に感じました。
少しでもヒップホップの好きな人なら観て損はないと思いますし、ファッショナブルでないリアルなヒップホップの一面が見えると言う意味でも興味深い映画でした。

ちなみにハッスルって、スラングで売春するっていう意味なんですね、(知らなかった。)
元プロレスラーの小川の「ハッスル、ハッスル!」とか見たら、やっぱり大爆笑なんでしょうか?w

よければこちらの記事もどうぞ。

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