[映画] イスラエル発のスマートなサスペンススリラー『オオカミは嘘をつく』

2015年8月12日
2017年6月8日
gappacker
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タランティーノ絶賛?のイスラエル映画

クエンティン・タランティーノが今年のナンバーワンと言ったというイスラエルの作品。タランティーノはグラインドハウスというB級映画を始め、低俗なものを好む傾向があるので、正直アテにならないとは思いつつ、映画オタクにそこまで言わせるのであれば、なんらかのインパクトはあるはず。イスラエルの映画というのも興味が湧いたので見てみることにしました。原題は『BIG BAD WOLVES』

あらすじ

少女暴行事件の容疑者を手荒い手口で自白させようとする警官のミッキ、しかし拘束できないまま、次なる残忍な事件が起きてしまう。復讐を誓う被害者の父親、ミッキ、そして容疑者の3者の緊迫したやりとりが展開する。。

予告編はこちら

映画を観た感想

娯楽作品というよりは通好みで、脚本がよくできているのはもちろんのこと、カメラのカット割にもこだわりが感じられる作品。

それぞれの内面に入り込むかのように表情に迫っていき、ちょっとした一瞬の『間』を与えることで、観ているものになんらかの感情を沸き立たせる。それは怒りや嫌悪感であったり、疑念であったりするんだけど、その感情を芽生えさせる緊張と緩和の緩急のつけ方が見事。
そんなに多くを観たわけではないけれど、ヒッチコック映画に通づるような上手さとでもいうんでしょうか。

映画の中では拷問シーンなど少し残虐なシーンがあるのだけれど、それをただのスプラッター映画にはせずに、かつリアリティを保つために見せるべきところはしっかり見せている。このへんも観ている人の感情を揺さぶるのに必要不可欠なバランスをうまく保っている。

ロケ地も多くないし、演者も少ないため、工夫すれば低予算でも撮影が可能な気がするんだけど、ディテールにお金をかけることで完成度を高めているのもなんだかスマートな感じ。

いわゆる政治的なイスラエルっぽい要素は皆無で「ユダヤ人」という枠でものを語ってはいないが、すでに状態化してしまった入植者の日常の延長として非日常を描いていて、そこに”隣人”としてのアラブ人が登場する。このアラブ人に対する偏見や接し方などのやりとりが唯一イスラエル的(入植者側からの)な側面を見せつつ、狂人と常人のバランス感を保つスパイスとして面白い。

でてくる車がアメ車なのもイスラエルっぽいのかもしれません。
これがアラブ人主体の映画なら、きっとトヨタの中古車とかなんでしょう。

作品としてはスマートにできた映画で結構好き。
サスペンスとか好きな人にはオススメです。

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