バンクシーの映画「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」を、横浜ジャック・アンド・ベティに観に行って来た。
バンクシーとはイギリス在住の正体不明のストリートアーティストで、政治や社会を風刺した作品や、大英美術館に自らの作品を勝手に展示したり、イスラエルにある入植地とガザ地区を隔てる壁にペイントするなど、その過激な行動でも有名である。
そのバンクシーが撮ったドキュメンタリー作品ということで、
映画についての下調べなどせず、基礎知識の無いまま劇場に向かった。
映画は期待どおりで、バンクシーがその知性と皮肉たっぷりのユーモアを表現するのに、
媒体や手段はそれほど重要では無いのだと確信させるに十分足る出来だった。
この映画は彼自身についての映画ではない。
勿論、彼自身もストリートアートの中心人物の一人として暗がりの中にシルエットとして声を変えて登場する。
しかし、それもシーンの中でのバンクシーという存在感を客観的に捉えたうえでの必要最低限の出演に留めている。
彼はこの作品を撮らざるをえなかった。
場合によってはマイナスになりかねない状況に巻き込まれ、それを起動修正したというほうが正しいかもしれない。
ただしそこはバンクシー、軌道修正どころか、その状況を利用してアートやアートを取り巻く環境に対しての問題提議を仕向けているようにも感じられる。
もしかしたら彼はかなり早い段階からこのような流れを想定してそう仕向けていたのではないかと思もえてしまう。
アーティストから変態性を感じることはあるし、そこを売りにしようとしているアーティストも度々見かける。
しかし、バンクシーは行動は過激でありながら個性や人格を排除し、
作品自体がメッセージ性を帯びているという知的で特異なアーティストだと思う。
今後も世の中を、人々を、強烈なメッセージを持っていくだろうバンクシーから目が離せない。
予告編はこちら
横浜ジャック・アンド・ベティで公開封切りということで上映後にトークショーがあった。
イルコモンズさんとユリイカ編集部の横山芙美さんの対談。
話の中で紹介されていた
バンクシーが編集したイギリスの公共テレビ局であるチャンネル4の動画にリンクを張っておきます。
The Antics Roadshow (消されていました。)
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