[映画] 最先端のおとぎ話を観ているような日本のアニメ短編集『SHORT PEACE』

2014年8月10日
2017年5月16日
gappacker
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久しぶりにアニメを観てみた。

僕はアニメはそれほど詳しくない。
『キャプテン翼』や『北斗の拳』、『ドラゴンボール』などはアニメよりも漫画のほうが馴染み深いし、ジブリ作品も全てを観てるわけではない。
これまで観た最近のアニメで好きなものと言えば『アキラ』、『攻殻機動隊』シリーズ、『マインド・ゲーム』、『サマーウォーズ』くらいである。

アニメについて語る時に、もはや避けては通れなさそうな『エヴァンゲリオン』も、当然観てはいるが、好きかと言うと微妙なところだ。
作品として凄いと思える部分はあるし、社会に与えた影響力はものすごいものがある。
そうわかってはいるのだが、妙に謎めいた設定や仕掛けが多すぎて、『ついて来れなきゃ負け感」について行けないのだ。

その感覚は村上春樹を好きか?と問われたときの感覚と似ている。
村上春樹の作品は少なくても10作品くらいは読んでいると思うのだが、好きで夢中になって読んだというよりは、この人の世界観は何だ?という好奇心に近い感じだった。彼の作品が好きだと言う人には『ねじまき鳥クロニクル』を読んで、ノモンハンから無事に帰ってこれたかどうかを聞きたくなるくらいには理解できていないし、『ノルウェイの森』は生と死について考えた以外は青春官能小説の印象しか残っていない。羊男が一体何者だったのか疑問だし、『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』は面白かった印象があるのみで、一角獣以外の記憶は曖昧で、太った魅力的な女性が出てくるのがこの話だったかさえ、自信がない。

僕は一定の理解力はあると思うのだが、記憶力には自信がない。
そのうえ、集中力には自分でも驚くほどのバラツキがあるというおまけ付きである。

考察の結果として話が複雑になることはあるし、ある程度許容できる。
しかし話が整理されていない人の話を聞くのは疲れるし、複雑さが前提の話は苦手なのだ。

どうでもいい言い訳のようなものから始まってしまったが、門外漢であるオタク文化に踏み込む前に、自分の装備を確認してもらいたかったのだ。
脱線はしたものの、複雑にならずに意図が伝わってるといいのだが。

日本がテーマのオムニバスアニメーション短編集

このアニメ短編集は『AKIRA』や『FREEDOM』などでも良く知られている漫画家であり、映画監督でもある大友克洋氏の呼びかけから始まったようだ。
タイトルが最終的に『SHORT PEACE』になったのは1979年に出された大友克洋氏自選作品集『ショートピース』から来ている。
作品の生まれた背景に関する内容は公式サイトのPRODUCTION NOTEに書かれているのでそちらを読んで欲しい。

「オープニング」の不思議な世界観で始まり「九十九」、「火要鎮」、「GAMBO」、「武器よさらば」の四作品が収録されている。
そして、なぜかプレーステーション3用のゲーム「月極蘭子の一番長い日」がシリーズの一つとして発売されている。
この辺りの背景はよくわからない。

観た感想

『オープニング』の不思議な世界観の映像で一気に引き込まれる。
決して長いものではないのだが、観ているものを異なる世界へ誘うには充分すぎるものだ。

そして始まる森田修平監督による『九十九』。
短編集なのでストーリーには一切触れないが、僕はこの作品が一番好きである。
日本的な宗教観というか、全てのものに神が宿っているという信仰心みたいなものを短い時間の中で、素晴らしい映像とともに表現している。

続く、大友監督による『火要鎮』も日本的なのだが、巻物調の絵の中に江戸の暮らしがリアリティをもって描かれている。
ストーリーというよりは描き方を含めた表現力に感嘆した。

安藤裕章監督による『GAMBO』は他の作品と比べると、設定も含めて異色な作品かもしれない。
少年漫画の連載物で初めて成立しそうな内容を、短編という制限の中で、過不足のない形で納めたのは見事としか言いようがない。

『武器よさらば』は元々大友監督の作品なのだが、本作ではそれをカトキハジメ氏が監督となった。
この作品は、永遠の男の子が大好きな、いわゆるロボット、兵器物である。

タイトルではおとぎ話と書いたが、昔テレビでやっていた『日本むかし話』を現代的なアプローチでアーティスティックに表現したものとも言えるかもしれない。
いまでこそ世界中で知られるようになった日本のアニメではあるが、これだけの完成度のものが生まれること自体が、その文化的熟成度を証明している。
日本のアニメをあまり知らない人には、下手に説明するよりも、この短編集を見せることで日本アニメの奥行きの広さは悟ってもらえるのではないだろうか。

短編集なので、ジブリアニメくらいしか観ない人でも飽きずに観られると思う。

予告編はこちら

公式ページ


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