無謀な挑戦を描いた作品
ノルウェー人の学者、トール・ヘイエルダールは、ポリネシアの文化や食べ物などから、南米にあったインカ帝国との類似点を見いだす。トールはポリネシアの人々が、南米から渡って来た人々の子孫だという仮説を立てるのだが、当時はポリネシアの民族はアジアから渡って来た人達の子孫だという学説が有力であり、南米から辿り着くのは不可能だと考えられていた。トールは自らの説が正しいことを証明するために、5人の仲間とともに、当時の技術と材料のみで作られたイカダで、無謀とも言える8000kmの航海に挑む。
1947年にペルーから101日をかけてポリネシアに到達した、ノルウェー人5人とスウェーデン人1人による実話を映画化したものである。
映画を観た感想
冒険家でもあり写真家である石川直樹の本の中で、ミクロネシアの人々の航海術についての記述がある。
それは五感と経験を最大限用いて、風や潮の流れを読む航海術であり、そこには最新技術などには頼らない素の人間の能力がある。
人類は文明を築き、時代とともに技術レベルを進歩させてきた。
しかし、僕らは同時に本来持っていた筈の優れた感覚を失っているのかもしれない。
例えば湿気を含んだ空気を肌で感じた時に、嵐の到来を予感するあの感覚。
昔の人の感覚はもっと研ぎすまされていたのではないか。
技術革新が進めば進むほど、個々の人間としての能力面では同時に退化が始まっているようにも思えてしまうのだ。
海は美しく、そして怖い。
そんな海に勇敢に挑んだ彼らの勇気に脱帽する。
ドラマチックに大袈裟に描くことも、間延びすることもなく、とても見やすい映画だった。
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