ゴーストライターではなく、ブックライター
著者は著名人などにインタービューを行い、その人の名前で本を執筆するという仕事を長年やられている。以前はゴーストライターと呼ばれていて、あまり仕事として正しく認識されていなかった分野の仕事ではないかと思う。
この本を読むことで、いかに彼がプライドを持ってこの仕事に取り組んでいるかということがわかる。そもそも他人名義、しかも著名人の名前で本を出すのでは、創作ができないのは当然のこと、間違えがあってもいけない。
そのためには信頼に基づいた綿密な取材が必要となるため、決して楽な仕事とは言えないだろう。
ブックライターの存在意義
ともするとブックライターという仕事は人のふんどしで相撲をとっているように見えるかもしれない。著名人の名前で本を出すことになるからだ。そんな声が少なくないからか、本書ではブックライターという仕事の存在意義について、以下のように述べている。
・文章を書き慣れていない人に、文章を書かせる負担を軽減する。
・ブックライターが素早く仕事をすることで、出版のタイミングを逃さない。
・重要なのは著者が持っているコンテンツを世の中に出し、多くの人の役に立つこと。
ブックライターがいなければ世の中に出ていない本も多く、それ自体が社会の損失であるという考え方である。
イメージとは異なる豊かなライフスタイル
経済的な面も含め、本書では著者の日常についても触れている。それは会社員時代の数倍の収入を20年以上にわたってキープしていて、都内の高級住宅地に住み、取材には2台保有する外車でホテルのロビーで打ち合わせしているというもの。
そのライフスタイルは、いわゆるゴーストライターという響きからイメージするものとは対称をなす。
仕事のやり方と進め方について
ブックライターの仕事は文章を書くだけではない。
著者のことを調べ、何をインタビューするかを決め、限られた時間の中で、本の素材となる経験や知見、ノウハウを漏れなく引き出し、その素材を基に、本として構成するための目次づくりを行う。
文章を書くのは、あくまで最終段階なのである。
目次作りのポイント
・大きなテーマ設定を強く認識しておく
・著者を意識してみる
・読者を意識してみる
・共通項を見つける
・目次作りのキーワードを見つける
・カテゴリーわけする
・著者の伝えたいことが読者に受け入れやすくなる流れを作る
・文章や文字ではなく、口頭で伝えるなら、と考えてみる
・人文の感情をヒントにする
推敲のための4つのステップ
1.できるだけ短い期間で一気に書き上げる
2.違和感無く、一気に読み進められるかを確認する。
3.わかりやすい文章になってるか確認する。
4.細かい部分の確認。用語として正しいか、句読点の位置はどうか、文章のリズムはどうか。
編集者からみたブックライターに必要なもの
最後の章で編集者にブックライターに困っている点を聞いたところ3点あがったそうです。
一つ目は取材がキチンと出来ていないこと。
二つ目は文章の量が足りていないこと。
そして三つ目がスケジュールに間に合わないことだそうです。
つまり、キチンとした取材をもとに、必要とされる量を満たす文章をスケジュール内にこなせば、編集者にとっては仕事を依頼しやすいブックライターになれるということです。
読んだ感想
仕事のイメージがガラリと変わるとともに、とても楽しそうな仕事だと思った。
何しろ様々な業界で活躍されている一流の方々の話を聞き、それをまとめる中で、その人の人生や考え方などを追体験できるのである。もちろん本が売れれば、収入にも繋がる。
本書の中で著者はブックライターが足りていないと書いている。
きっとこの本読んで、ブックライターを志す人は増えるだろうと思う。
しかし、なりたいだけでなれないのはどの世界でも同じ。
ただ自分の文章を書けばいいだけの仕事とは違い、コミュニケーションをとって取材をしっかり行い、それをまとめる構成力なども必要となってくる。難しそうだと思いながらも、一度、誰かのブックライターというのをしてみたいとも感じたのであった。文章を書くことが好きな人は読んでみると良いかもしれない。
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