知的興奮が止まらない。日本が誇る知の最先端『デザインする思考力』

2014年12月19日
2015年12月5日
gappacker
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デザインする思考力

知の最先端で何が起きてるのか

東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(東大EMP)の講師たちに、同じく東大EMPの特任教授である横山禎徳氏が知の現在や思考法に関して、インタビューした内容をまとめたのが本書。

東大EMPとは

東京大学がこれまで培ってきた最先端かつ多様な知的資産を資源とし、マネジメントの知識や幅広い教養を駆使して人類の蓄積を自在に使いこなす、高い総合能力を備えた人材を育成しようとするプログラム。次世代のリーダーになるべき人材を対象に、東京大学独自の発想に基づいた「唯一無二」のプログラムを組み立て、一層多極化し、複雑化する世界においても通用する課題設定と解決の能力を身につける「場」を提供する。2008年10月の開講以来、大企業だけでなく、中小、ベンチャー企業、そして行政機関、プロフェッショナル・ファームから受講生の参加を得る。

インタビューに答えている講師たちは下記の方々。

  • 村山 斉 / 東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)機構長・特任教授 米国カリフォルニア大学バークレイ校物理教室教授/素粒子物理学
  • 難波 成任 / 東京大学大学院農学生命科学研究科教授/植物病理学
  • 池内 恵 / 東京大学先端科学技術研究センター准教授/イスラム政治思想
  • 江崎 浩 / 東京大学情報工学系研究科教授/情報通信工学
  • 小野塚 知二 / 東京大学大学院経済学研究科教授/西洋経済史
  • 井上 将行 / 東京大学大学院薬学系研究教授/有機合成化学

いずれの方々も研究成果が世界的に高く評価されているみたいで、やっている事は難しいんだけど、説明がとてもわかりやすくて面白いです。

読んだ感想

これはめちゃくちゃ面白い。
今年読んだ本の中でもトップクラス。
知的好奇心が旺盛だと思う人は絶対に読んで欲しい1冊です。

東大というと勉強はできるけど一般企業では使えない人材が多い。(辞める人のほうが優秀?)などと言われたりすることもあるみたいですが、そこは日本の最高学府。
研究機関としてはかなり最先端の研究を行っていて、かつ優れた成果を出しているんですね。

全体を通して面白いので、とにかく読んで欲しいのですが、一部、僕が興奮した部分について紹介します。

「パラダイムシフトに対応する姿勢」というタイトルでまとめられている村山 斉氏のインタビュー。
機構長を努めるカブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)は宇宙への根源的な疑問を解明するために設立された国際研究機関だそうです。近年の物理学や宇宙研究を取り巻く環境の変化、そして現在わかってきるとことについてお話されていて、宇宙の構成要素の話は面白かったです。

万物は原子によってできているなんて昔どこかで聞いた気がするんですが、これが間違いらしい。
宇宙において原子は4.4%しかなく、残りの95%は何でできているかというと、22%が暗黒物質、73%が暗黒エネルギーという謎の物質だそう。
暗黒物質とは光を出さないけど大きな質量を持つ物質。じゃあ、暗黒エネルギーってのは何なのかというと、従来、宇宙の膨張はある程度まで加速したあと減速していく筈と考えられていたものが、実験によってむしろ加速していることがわかり、それを後押ししている見えないエネルギーのことを暗黒エネルギーと言うらしい。

よくわからないですよね。
でもそれを解き明かして行く実験なども含めた過程の話が最高に面白いんです。

それ以外にも「現象全体の仕組みを捉える分析力」とした池内 恵氏へのインタビュー。
日本人としては馴染みが薄く、なかなか理解するのが難しいイスラムについて。
宗教と政治に関しては、西洋的な価値観についてはある程度理解していても、イスラムに関してはわからないことが多い。

イスラム国などの懸念材料も含め、今後、世界情勢の中でより重要になるであろうイスラムについて楽観的にも悲観的になることもなく分析されています。
こういう方の研究をとおして、一般人のイスラムについての理解度が高まることで、畏怖や誤解のない付き合い方ができるのかもしれません。

全体を通して圧倒的に面白かったです。

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