[映画] 原発事故によって、故郷を捨てざるをえなかった人達を描いた『希望の国』

2014年6月30日
2017年5月16日
gappacker
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福島第一原発

原発事故後、どんなことが起きたのか

この映画は原発事故によって故郷を棄てざるを得なかった人達の話です。
映画では長島県(長崎、広島、福島から取ったらしい)という架空の県を舞台にしていて、東方沖で起こった地震の影響で原発事故が起き、その後の出来事が描かれています。

酪農家の小野泰彦の家は庭を隔てた反対側が20km圏内の避難区域、自分の家は避難区域外という、ボーダーライン上に建っていた。
近所の人が一時待避を求められ、避難所へ向かっていくなか、泰彦は若い息子夫婦たちだけを避難させ、自分は痴呆症の妻と、それまでと同じ生活を続ける。

しかし、避難区域が広がり、面倒を見ていた牛への殺処分命令、そして立ち退き命令。
何世代も住み継いで来た故郷にある日住めなくなってしまった人達の苦難と苦渋の決断がそこにはあった。

映画を観ての感想

この映画は、園子温監督作品なのだけど、撮りたくて撮った映画というよりは、撮らないわけにはいかない、撮っておかなければならないという使命感によって撮られた映画だと思います。

僕は東北にヒッチハイクで旅にいく道中、双葉町から避難している2人の女性に乗せてもらった。
1人は郡山に避難していて、もう1人は千葉に移住している方。
彼女達と話した時間はそれほど長くなかったし、不用意に傷つけてしまったり、失礼がないように接したため、そこまで深い話は聞けなかった。
しかし、事故後すぐに子供のパスポートを取ったこと、避難先でいくら貰ってるかなどの興味本位のことを聞かれたり、1ヶ月に一度だけ申請を出した上で家に帰れること、帰るといっても墓参りくらいしかしない。ということなどを聞きました。

明るく話していたが、それは怒りや悲しみを通り越した悟りの境地に近いと感じた。

劇中でもあるように、放射線に怯えるお母さん達をあざけ笑う人達がいる。
今でもそういう人達にたいして放射脳と言いはなつ下品な人も時折見かける。
これは完全にセカンドレイプだと思う。

そもそも彼女たちは被害者である。
子供の安全を第一に考えているだけだし、彼女達が原発を建てたわけでも、原発事故を起こした訳でもない。
なぜ国や電力会社に行くのが当然のはずの怒りが、不安を口にした人に向かうのだろうか。

本当に危険性が有るのか無いのかは時間が経ってみないとわからない。
それを安全だと言い放てる根拠のない自信がそもそも疑わしいし、安全か危険かわからない時は、危険なケースに備えて動く人のほうがどれだけ賢明だろうか。比較的安全な場所から風評被害に繋がるから不安がるなとか、変な同調圧力をかけるのではなくて、被災者に対する最大限のケアの方法を考えて欲しいです。

危機感と想像力が欠如してしまっている人にも観て欲しいです。

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