[書評] デザインで振り返るApple『アップルのデザイン』

2016年1月8日
2017年5月16日
gappacker
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アップルのデザイン

Appleがおこなってきたこと

Appleという会社は、AmazonやGoogleと並んで21世紀を代表する会社であることは間違いない。
そんなアップルを支えたカリスマ、スティーブ・ジョブズが亡くなったのは2011年。彼が死ぬ間際まで、Appleのことを考えていたことは想像するに容易いし、その方向性を示して去っていったとは思うけど、それが5年先か、10年先までのプランなのかはわからないし、変わりやすい現代のなかで、彼なしにそれがに成し遂げられるものなのかも疑問が残る。

今年でジョブズが亡くなってから5年、今後のアップルがどのように変化していくのかを見届ける前に、アップル (ジョブズ)が、デザインを軸におこってきたことを見直したいと思い読んでみることにしました。

冬の時代を終わらせたジョブズと、デザイン

今でこそ、スタバでMacを広げていることに憧れる人がいたり、ネタにしたり、されたり。なんてことがおきたりAppleの製品だけど、自分が最初に使ったOS7.6のPower Mac時代のAppleは冬の時代真っ盛りだった。たぶん、レインボーカラーのAppleのロゴを見せても、なんのロゴかわからない人が多かったと思う。家電量販店やパソコン屋にはMacが1台も置いてないことなんて普通だったし、周辺機器の対応製品にmacOS対応なんて文字は無いに等しかった。
対応製品があまりにもないもんだから、海外のサイトの情報を読んで、どこどこって会社のチップを搭載したパーツのファームウェアを書き換えれば使えるなんてことが行われていた時代です。

Appleをサポートしていた加賀電子さん、秋葉館さん、Vinteage Computerさん、ありがとう。(笑)

そんな時期を経て、ジョブズがappleに復帰し、98年の初代iMac発表からAppleの快進撃が始まりました。
その躍進の裏にはデザインは切っても切り離せないし、ソフトとハードのみならず、ユーザー体験を含む、すべてのものを一貫してデザインしようとした会社は他にありませんでした。

iMacの発表の衝撃からiPod、iPhone、Apple Storeなど快進撃を続けるなかで、Appleは自分が栄枯盛衰をリアルタイムで見てきた数少ない企業です。

本を読んだ感想

この本は日経デザインが出しているデザインという切り口でアップルの事業を見直した本であり、素材や品質へのこだわりはもちろん、グラフッフィックや広告、店舗やパッケージなど、ユーザーがApple製品を認知して、手元で届くまでの、すべてのユーザー体験へのAppleの強いこだわりが再確認できる本です。

知らなかったことで一番驚いていたのが、AppleがMacBookAirの天板と底面に使うアルミの材質を微妙に変えているという部分。iMacを最初に見たときに、初めて後ろからでもサマになるものが出てきたと思いましたが、まさかそこまで素材にこだわっているとは思いませんでした。

ジョブズ本人のインタビュー記事などはないものの、過去に一緒に働いた人や、99年当時の少し野暮ったいジョナサン・アイブのインタビュー記事なども載っているので、Appleのデザインを振り返るには面白い内容が多い。
サムソンとの訴訟合戦などに関しては、もはや忘れかけていましたが、確かにこれだけの労力をかけたものを表面的にだけ、露骨に模倣されては、描こうとしている未来さえ壊されかねないため、見逃すわけにはいかなかったのかもしれないと今は思えます。

ジョブズを失ってもうすぐ5年になるアップルは、その遺伝子が残っているのかどうなのかが問われる期間に突入した気がします。
これからもワクワクする未来を見せてくれるのでしょうか、ジョブズなしでamazonとの戦いに勝てるのでしょうか。

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