[書評] 老害ではなく老益。世界をより良くする長老達の『知の英断』

2016年2月15日
2016年2月17日
gappacker
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
知の英断

世界を変える老人集団エルダーズ

以前、読んで大変興味深かった新書本『知の逆転』の続編とも言える1冊で、著者はサイエンスライターの吉成真由美さん。
[書評] 現代を生きる知の巨人達へのインタビュー集「知の逆転」

今回はリチャード・ブランソンがネルソンマンデラに呼びかけ、ネルソン・マンデラを中心に結成された外交リーグのスーパーチーム、エルダーズのメンバーへのインタビュー集です。エルダーズは、声なき人々に代わって発信し、忘れられた人々に手を差しのばすことを旨とした長老たちの集まりで、大統領経験者など国際社会でその影響力を行使し、社会をより良い方向へ導こうとしています。

インタビューされているエルダーズのメンバー

本書でインタビューされているエルダーズのメンバーは下記の方々。

ジミー・カーター

唯一戦争をしなかったアメリカの大統領。2002年ノーベル平和賞受賞。
大統領引退後はパレスチナや北朝鮮の国際問題のために積極的な活動を続ける。

フェルナンド・カルドーゾ

50年にもおよぶブラジルのハイパーインフレを解決し、ドラッグ問題を「刑事問題」から「健康問題」に変えることで解決しようとしている元ブラジル大統領。95年から二期8年に渡って大統領を務めた。

グロ・ハーレム・ブルントラント

41歳の若さでノルウェー初の女性首相に就任。WHOの事務局長も務め、「少女結婚」の根絶など女性の基本的人権の擁護のための活動を行っている。

メアリー・ロビンソン

アイルランド初の女性大統領。国連人権高等弁務官として気候変動や貧困地域の支援、女性の地位向上など幅広い分野で活動している。

マルッティ・アハティサーリ

元フィンランド大統領。国連特使としてインドネシアのアチェ合意をはじめ、コソボ、ボスニア、イラクなど世界各地の紛争解決に貢献。2008年ノーベル平和賞受賞。

リチャード・ブランソン

ロックバンド「ジェネシス」のボーカルだったピーター・ゲイブリエルとともにエルダーズの立ち上げのきっかけとなったヴァージングループの創設者であり、冒険家。

読んだ感想

一言でいうなら各自がそれぞれの専門分野で圧倒的な役割を果たしているオールスターチーム。X-MENとかのヒーローものを現代風にリアリスティックに描いたらこうなっちゃうのかもしれない。年寄りが引退せずに影響力を行使するような立場にいると、老害と揶揄されることもあるけれど、これは確実に老益と呼べる行いであるし、長老といえるようなポジションであるからこそ、その経験を活かして成し遂げられることも多いのだろう。

世界共通ともいえる戦争や環境、人権問題などの課題にどうやって向き合っていくべきなのか。
その解決策や粘り強い取り組みなどについて語られています。

NPOや社会貢献事業に興味があったり、携わってる人は読むと勇気をもらえる1冊だと思いました。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitterでgappackerをフォローしよう!

 この記事のタイトルとURLをコピーする