[書評] 『サインの真価―施設に酸素を吹きこみ活性化するデザイン』

2014年9月6日
2017年5月16日
gappacker
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サインの真価

空間におけるサイン

“サイン”という言葉から何を思い浮かべるだろうか?

ひょっとしたら、それは著名人のサインだったり、クレジットカードで買い物をした時のサインだったり、書類の最後に書くものであったりするかもしれない。

語源由来辞典では、”サイン”について下記のように記述されている。

サインは、英語「sign」からの外来語。ただし、「サインする」は「sign」であるが、日本で「署名」の意味の「サイン」は英語で「signature」、タレントなどがする「サイン」は「autograph」が用いられる。英語の「sign」は、「印」を意味するラテン語「signum」に由来する。&oq=サインは、英語「sign」からの外来語。ただし、「サインする」は「sign」であるが、日本で「署名」の意味の「サイン」は英語で「signature」、タレントなどがする「サイン」は「autograph」が用いられる。英語の「sign」は、「印」を意味するラテン語「signum」に由来する。

© 語源由来辞典

つまり、日本人が日頃から利用している”サイン”という言葉は微妙に意味や使われ方が変わっていて、本来は「印」という意味から来ているのだ。
この辺は”リベンジ”という言葉が、奇妙な使われ方をしている日本らしいといえばそうとも言える。

話を元に戻すと、この本における”サイン”は本来の意味に近い『印』という意味合いでの”サイン”である。
それはグラフィックなど2次元的なものだけではなく、看板であったり、目を引く形状や色のオブジェクトであって、本書ではそれら空間におけるサインを集めた本だ。

読んだ感想

僕は建築を見る旅をしていたこともあるくらいには、建築が好きである。
建築の世界において、公共の施設などではサイン計画は欠かせないものであるため、建築が好きな人にはこの”サイン”という言葉に抱く印象に一般の人の持っているかもしれないようなズレはないと思う。

僕がサイン計画としてすぐに思い浮かぶのは、原研哉氏による公立刈田綜合病院のサイン計画や、小磯裕司氏による犬島アートプロジェクトのサインプロジェクトだったり、佐藤可士和氏による国立新美術館のサイン計画、そしてシャルル・ド・ゴール空港のサイン計画のために生まれたFrutigerというフォントなどである。
(※余談だが、佐藤可士和氏はセブンイレブンのコーヒーの件以来、スゴい言われようだったりするのだけれど、僕は彼の思考のプロセスや、国立新美術館のロゴや、六本木にある可不可(カフカ)というお店のロゴは好きだったりする。)

この本は、建築とグラフィックデザインの中間に位置するような本であって、空間設計に興味のあるグラフィックデザイナーや、サイン計画などを行うことの多い商業施設や公共施設の設計などに携わる空間デザイナー向け、もしくはそれらに関心のある人のための本だと思う。
読むというより、眺めるような本だけど、気になっら読んでみるといいかもしれない。

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